【ー記憶ー】116
休憩時間中、雄介と望は本当に二人だけの時間を過ごすのだ。
「雄介……」
そう望は前と変わらず、雄介の名前を呼ぶ。 そう記憶喪失だった時の望というのは雄介の名前は一切呼んでなかった。 だからこの前記憶が戻った。 と電話が和也からあった時の望というのは、ちゃんと雄介の名前を呼んでいた。 だが今回は目の前にいる本人が呼んでいるのだから本当に望は記憶が戻ったという事だろう。 そんな望に気付いたのか雄介は望に向かって微笑む。
やっと元に戻れたように思える二人。
自然と二人に笑みが溢れたようだ。
今まで色々あったけど、これからはまた二人一緒にいられるだろう。
そして今度、望は真剣な瞳で雄介の事を見上げると、それに気付いた雄介は頭にハテナマークを浮かべているようだ。 首まで傾げてしまっているのだから。
「……何?」
「覚えてるか? 前に約束した事」
「ああ! 勿論! 『一緒に住もう』やろ?」
「ああ」
やっと雄介の前できちんと人の目を見て言えたような気がする。
これからはずっと一緒。 だからこそキツい仕事でも耐えられるのかもしれない。
今度からは二人一緒に何もかも楽しもうか。
これからの人生まだまだ先があるのだから。
『ー記憶ー』END
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