【ー記憶ー】115
「望も俺と同じ気持ちでいてくれたんなら良かったわぁ」
更に雄介は抱きしめていた腕に力を込めるのだ。
「も、我慢なんかせぇへんで」
「はぁ!? お前、何言ってんだよ! ココでなのか……誰が来るかも分からないような場所で……その……イチャイチャな事を……」
恥ずかしそうに顔を俯けながら言う望。
「そんでも、後一時間くらいはゆっくり出来ねんやろ?」
「あ、ああ、まぁな……」
とりあえず今の時間は診察室側には誰もいないのか、この辺りはやたら静かな所になっているのだが、人が来ない場所ではない。 ここのスタッフなら誰でも出入り出来る場所なのだから。 流石にイチャイチャしてる所を見られるのは恥ずかしい所だろう。
そう今は全くもって人の気配がない状態と言う事だ。
「ほなら」
「……ああ。 その前にお前、体の方は平気なのか? なら、点滴外してやるよ」
「元気なのか取り柄みたいなもんやし、もう、平気やな」
「そうか……なら……」
そう言って望は雄介に付けていた点滴を外すと窓際にある容器の中へと入れておく。
その望の後に付いて行った雄介。
「望……」
「なんだよ……」
そう言って望が雄介の声のした方へと振り向くと、不意打ちなキスをされてしまう望。
そんな急なキスをされてしまうと、瞳なんか閉じている暇等はなく望はそのまま目を見開いたままの状態でキスをされてしまっていた。
雄介は望の体をギュッと抱き締め唇を一旦離して、
「な、望……瞳閉じて……」
そう雄介に言われた望は自然と瞳を閉じるのだ。
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