【ー記憶ー】103

 雄介は望からその携帯を渡され初めて望の携帯は防水用携帯だったという事に気付く。


 だからあのスプリンクラーが発動した時にその携帯は無事だったのであろう。 しかもデータ云々かんぬんもしっかりと残っている状態だったようだ。


 これは完全な雄介の誤算だったのかもしれない。


 この携帯のせいで雄介が望に言っていた従兄弟だという事が全てバレてしまっているのだから。 


 これでは雄介の計画通りには今後はいかないという事だろう。


 しかももう望はその携帯の中にあるデータを見ていたのだから尚更だ。


 もう望との関係は従兄弟同士ではいられないのかもしれない。 じゃあこれからはどんな関係でいられるのであろうか。


 ……友達?


 ……親友?


 ……従兄弟?


 ……恋人?


 いやもう望はきっと雄介との関係をその携帯で知ってしまっているのだから、寧ろ、そこは、もう恋人関係でいられるって事になれるのかもしれない。


「この携帯って俺のだろ? そこにあるメール見てみろよ。 お前と俺のメールでのやり取りが残ってるだろ? それって、どう見ても、従兄弟同士のやり取りじゃねぇよな? ってか、そのメールの文面っていうのは、どう見てもお前と俺の関係っていうのは恋人関係じゃねぇのか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る