【ー記憶ー】67

 雄介は首を傾げながらストローでジュースを吸い上げる。


 それでも、まだ難しそうな表情を浮かべている雄介。


「何も無ければいいんだけどさ……何か、あった時……には?」


 そう望が最後まで言葉を言い切らないうちに雄介は立ち上がると、


「ちょい、待っててな。 やっぱ、気になる臭いだし、見てくるわぁ」

「ああ」


 そんな雄介に望の方も臭いを嗅いでみるのだが、やはり望の鼻ではその臭いが分からないらしい。


 雄介はさっきいたファーストフード店から出て屋上遊園地の方へと出ると、もっと激しく焦げ臭い臭いがしてくる。


「やっぱ、どっか燃えとるやろ?」


 雄介はそう独り言を言うと、まだ臭いだけでどこか燃えてるという気配はないようだ。


 とりあえず臭いはしているのだから何処かに火元みたいなのはあるはずだ。


 今は真昼間で屋上にはそんなに人はいない。 だから早く火元を見つける事が出来たならそんな大きな事にはならないだろう。


 雄介は消化器を持って火元を探す。


 すると先程、望とプレイしていたエアーホッケーの配線辺りから煙が出ているのを発見する事が出来た。


「原因はこれだったんかいなぁ。 ま、こんくらいで済んで良かったって所やな」


 雄介は消化器のレバーを握って、簡単に煙または火を消しとりあえず消化させる。


「ん? 原因は?」


 そう消化した後に煙の原因を探るべく配線を見ると、


「なるほどな、コンセントの所に埃が溜まってたって訳や。 ほんで、俺らがやったから火が付いたって訳やんな」


 後で店員さんに注意しとこ……。 とも付け加え大火災にならなくて良かったと、ひと安心すると遊園地の管理者であろう人物に話をしに向かう雄介。

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