【ー記憶ー】68
雄介が店員さんにさっきの火災の事について説明し終えると、そこに雄介の携帯が震え始める。
「はい!」
『……雄介か? 早く……マズイ……! 早く……来て……』
「へ? 何て!? もう一度……言うて……」
望からいきなりの電話。 そして、そう何もそんなに喋っていないのにも関わらず、その電話は直ぐに切れてしまった。
そうここはそんなに電波の悪い状態ではない。 それなのに望の言葉はこう途切れ途切れでハッキリと聞き取る事が出来なかった。 だが今の様子だとまるで電波が悪い場所にいるようにも思えた。
でも雄介の耳には一つだけ残っている言葉があった。
『早く来て……』
と。
いったい今の望に何があったというのであろうか。
雄介は直ぐにさっきいたファーストフード店へと向かう。
だが、さっきいた場所なのにも関わらず何故かそこにはそのさっきまであったファーストフード店が見当たらない。
「確か……ここやったよな? さっきまで居た所って? それに、エスカレーターの近くやし」
雄介が首を傾げていると、再び焦げ臭い臭いがしてくるのだ。
「はぁ!? こっちもやったんかいな? いったい、このデパートの火の管理はどうなってんねん!」
雄介はそこで独り言を漏らしていると、微かにだが声が聴こえてくるのだ。
「……け……雄……すけ……そこに……はぁ……はぁ……いるのか? ケホッ! ゲホッ!!」
「その声は望かぁ!? ああ、居るよっ! いったい、どうしたっていうんや!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます