【ー記憶ー】16

 また、これで雄介と会えない日々が続いてしまうだろう。


 そう思うと体からは力が抜け憂鬱な気分へとなっているのかもしれない。 そしてその事で何もかもやる気さえもなくなってしまっている望。



 望は最初、雄介の事は好きではなかった。 だが気付いた時にはもう恋人の事が愛おしくなってしまっていたようだ。


 今日は非番で、しかも恋人である雄介と非番の日が重なっていた日でもある。 もし雄介がまだここに居たのならデートにでも行っていたのかもしれない。 だがもうここには雄介の姿はない。


 もし雄介からお誘いがなくて、ただ単に望一人その時間を過ごしていたのなら溜まっていた洗濯物や掃除をしていたのかもしれない。 だが雄介に会ってしまった事にプラスして雄介が帰ってしまった事で気分が落ち込んでしまい何もかもやる気を無くしてしまったという事だろう。


 それほど今の望にとって雄介の存在は大きいという事だ。


 フッと顔上げると周りには昨日食べたコンビニの弁当のゴミもある。


 それで余計に昨日の事を思い出してしまった望。 そう昨日は雄介とコンビニで大量に品物を買ってしまっていた。 今もまだ冷蔵庫の中にはその大量の品物だってある。 その大量の品物だってきっと望一人では食べきれないだろう。




 一方雄介の方は望の家を出てから一人電車に揺られて自宅へと戻っていた。


 確かに雄介の家と望の家とではそんなに距離は離れていない。 それでも一駅分は離れている。


 雄介はさっき望に手紙を置いて来たのだが、今日の雄介は何も予定はない。 ただ昨日はあんな事があったから望の家には居られなかったっていう方が正解だ。 そうただ手紙位は置いて行きたかった。 流石に黙って帰るのは失礼だと思ったからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る