【ー記憶ー】8

「そうか……それならここまで来なくても良かったかな? でも、Uターンするにも出来ねぇし。 ならさ、俺の家で食べるか? 俺の家、そこ曲がったら十分位だからさ」

「そうなんか? 俺はそれでもええねんけど」

「じゃあ、決まりだな」


 望は渋滞している道を抜け脇道の方へと車を走らせる。


 暫く道を走っていると表通りとは違い車は閑静な住宅街へと入って行った。


 先程の表の道とは違い脇道に一本入って暫く走らせると本当に住宅街が広がっているらしく、ネオン輝く街に比べたらひっそりしていて更に暗い。 まぁ、家の灯り程度しかないのだからネオン輝く街に比べたら暗いに決まっている。


 ちょっと車を走らせていると住宅街を抜けた所に、ここら辺では地主なのか、ただのお金持ちの屋敷なのかっていうのは分からないのだが、広い屋敷が見えて来た。


 その屋敷はまだご主人様が帰って来てないのか怖い位にひっそりとしている。


 雄介はその屋敷をじっと見ていると、やがて望が運転していた車の速度が落ちていった。


 今雄介が見上げていた屋敷の前で望は車を一旦停止させると何故か望はそこで車を降りていくのだ。


 そんな望の姿を目で追う雄介。


 望はその屋敷の門を開け直ぐに車へと戻って来る。


「ここがお前の家なんか?」

「え? あ、まぁ、まぁな」

「あ、いやな……ちょうどここでっかい家やんなぁって思って見てた所やったんやけどな」

「そっか……お前はまだここには来たことがなかったんだっけ?」

「……ってことは? あの梅沢さんは望ん家に来たことがあったんか?」

「ああ、たまにな。 前まではたまにここで呑んでたしさ」

「そうやったんか」

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