【ー友情ー】5
「なら、大丈夫ですよね。 今日から俺が勤務時間帯は桜井さんの担当看護師になる梅沢和也(うめざわ かずや)です。 宜しくお願いしますね」
そう和也はいつもの明るい笑顔で桜井へと挨拶をする。
「へぇ、男性で看護師さんなんて珍しいですよね。 ほんで、看護師さんとお医者さんが同じ俺の担当さんになるって事なんですね」
そう桜井はICU室にいた頃とは違い楽しそうに関西弁を喋り出す。
どうやらこの桜井という人物の出身は関西方面なんだろう。
だが働く場所は東京になってしまったという事なんであろうか。
「ここの病院では女性の看護師さんは逆にいないんですよ。 どうやら、カッコいいとか可愛いとかっていう男性看護師ばかりを雇っているそうなんです。 だから、女性の方からは人気のある病院になってしまったようなんですがね」
和也の方も話好きなのか桜井と楽しく話をし始める。
「って、事はここの病院には男性しかいないという事なんですか!?」
「まぁ、基本的には男性の方しかいませんね。 でも、問題とかは起きた事はないので大丈夫ですよ。 全くもって下心は無しで女性の患者さんにはあたってますからね」
「へ? ほな、昨日見たあのべっぴんさんは!? 女医さんではないって事なんですか?」
桜井はその和也の言葉に目を丸くする。
一方、和也の方はまだ桜井が望の事を女性だと言い張る事に笑いそうになっていた。
「ええ、勿論! 男性ですよ」
「えぇ!? ホンマに男性なんですか!?」
「本当ですよ」
未だに望の事を女医さんだと言っている桜井に吹き出しそうになっている和也なのだが、どうにかして笑うのを堪えているようだ。 だって、そうだろう。 望の事を女性だと言い張る桜井。 そして何度も男性だと確認してくる雄介に、そのリアクションだ。 そりゃ笑いたくもなるもんだ。
どうにか手で口元を押さえ笑いを耐えていた。
その時、病室のドアをノックする音が聞こえて来て、
「失礼いたします」
そう言って入って来たのは、今噂の望だ。
声だけで望だっていう事が分かった和也は、桜井の耳側で、
「噂をすれば吉良(きら)先生がいらっしゃったようですよ」
だが、この間桜井にあんな事を言われてしまった望。 未だに機嫌の方も直る訳もなく、それでも仕事は仕事として、そこはしっかりと割り切ってるのか、気持ちを切り替えて、
「どうですか? この病室は?」
そう業務的な言葉を口にするのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます