第70話
「何かと思ったけど。牛だったか」
割と離れたところから、こちら目掛けて走って来る、魔物の正体は、水牛のような立派なツノが生えた牛だった。
(とつげき
直線敵にしか走ってこないなら、簡単に罠に嵌めて倒せそうだな。
Eランクの魔物だから、そんな事しなくたって楽に倒せるだろうけど。
走ってくる、とつげき牛に対して鎖分銅を投げればそれだけで終わりだけど。
鎖鎌の鎌の方も、使わないと腕が鈍っちゃう
からな。
ただ単に突っ込んでくる、とつげき牛をギリギリまで引き付けて、上にジャンプして突撃を回避。
頭を上にあげて角で突きさそうとしてくる。
鎌で角を受け止めるつもりで、鎌を角に向かって振ると角を綺麗に両断してしまった。
そこまで柔らかいとは思っていなかったので、予定が狂ってしまった。
とつげき牛の胴体を蹴って後ろに飛んで一度距離をとる。
武器の性能が良すぎて、HPを一撃でゼロにしてしまった。
これじゃ、鎧通しの効果を発動させて戦ってるのと変わらない。
鎧通しを付与している関係上、斬撃強化とか付与してないのに……
Bランクの魔物がドロップした武器を使ってるんだし、それぐらい出来てくれないと逆に困るか。
鎖鎌、もう一本欲しいな。
鎌の方に鎖分銅がついてるタイプだから二刀流ができるし。
そうなると、モンスターマンティスともう一回戦いたいな。
この武器が有れば、前回よりは危なげなく戦えるだろうし。
一度躱されたのに、また突進してくるとつげき牛の突進を横に移動して躱して、すれ違いざまに首を斬りつける。
刃の長さが足りないから完全に両断することはできなかったけど。
半分ぐらいは斬れてるし、致命傷だろう。
とつげき牛は地面に倒れ込んで、直ぐに光の粒子になって消えた。
「牛革か需要は有りそうだから。お金にはなるだろうけど。個人的には牛肉が食べたかったな」
魔物の肉は色々手に入るけど。
地味に牛系の魔物と遭遇したのは初だった。
この世界に来てから牛肉は食べれてなかったから、牛肉が食べれるかもと、ちょっと期待していたんだけど……残念。
まぁ、ここはダンジョンなんだから、とつげき牛がさっきの1頭だけってことは無いだろう。
倒しているうちに牛肉は、自然と手に入るだろうから。
そこまで、悲しむことは無いだろう。
性質上、歩いてればあっちから突進してくるだろうし。
アレーネの方はどうなったかなと見てみると、既に戦闘は終わっていた。
流石に時間をかけすぎたようだ。
「問題なかった?」
「はい。ちょっと武器の性能に頼っちゃったかなってところはありましたけど。ショートソードだけで倒すことが出来ました」
アレーネの使ってる武器も、どんな魔物からのドロップか忘れちゃったけど。
Cランクの魔物からドロップした武器なので、Fランクの魔物である一角ウサギに使うには少しオーバースペックだったようだ。
最初から性能の良すぎる剣を使うと、剣に頼りすぎちゃうし、刻印術で強化してないから
そこまで性能がいいって訳でもないけどね。
(Cランクの魔物からドロップした武器となると、特殊効果がついていることも多いですし。貴族はお金をいくらかけても手に入れようとするレベルの武器なんですけどね。それに本来こんなに武器はドロップしないんですけど……)
うちにはアレーネがいるからね。
〈幸運〉の効果で、レアなドロップも手に入り易いからな。
うちでは比較的性能の高くない部類の武器だから。
因みにアレーネが使っているショートソードは魔力を流し込むと雷を纏って、斬撃ダメージだけじゃなくて、雷ダメージを与えられると言う効果を持っている。
俺的には同じ効果を刻印術で付与することができるので、ハズレだと思ったけど。
アレーネいわく、属性ダメージを追加で与えられる剣は属性剣と呼ばれていて、かなり人気が高いんだとか。
それじゃ、刻印術で属性剣を量産して売り出したら億万長者になれるかなと思ったけど。
絶対、お金より面倒事の方が沢山集まってくるので、そんなことしないけど。
そんな国家間の武力バランスを大きく変えてしまいそうな商売。問題にならないはずがない。
と言うか。刻印術で作らなくても、魔物を倒してれば、そのうちドロップするだろうし。アレーネの〈幸運〉の効果を考えればそれだけで充分な量の武器が手に入る筈。
それにしてもカード化を解除しなければ、場所を取らないと言っても、使わない武器を大量に持っておく意味ないよな。
ヒューマンスライムの保護活動をしているシャドウとエアリエルにちょっと安く売りつけるか。
と言っても、一度あって話しただけの相手に武器を販売数のはリスクの方が多いと思うので、直ぐにとは行かないけど。
どこに行けば会えるのかも知らないし。
この世界最強の冒険者らしいから。
少し情報を集めれば、どこにいるのか大まかになら分かるだろうけど。そこまでして武器を売りに行く気は無い。
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