第60話
(モンスターマンティスです。Bランクの魔物で、鎌の攻撃だけは受けないように注意してください)
突然木が倒れたと思ったら、人間サイズのカマキリが鎌の一閃で木を斬り倒したからのようだ。
それにしてもやっぱり魔導知能がフラグを建てたからBランクの魔物が出てきたな。
まぁ、Aランクじゃないだけマシだな。
分体を兎に角作りまくるから、魔導知能はモンスターマンティスが俺たちに近づいてこないように押さえつけて。
「沙希は俺たちを巻き込まなければ森の被害は気にしないて良いから周りの魔物を時間をかけずに殲滅する感じで」
「りょ」
沙希は広範囲攻撃をする為に指先に魔力を集めてルーン文字で魔法陣を書き始める。
「アレーネと俺は、沙希の準備が終わるまで、沙希に近づく魔物の排除」
「分かりました!シルフ、近づいてくる魔物を狙って倒して」
と言っても俺は分体作成の方に力を入れないといけないから、魔物の排除はアレーネと精霊にほぼ任せる事になりそう。
モンスターマンティスが鎌を一閃するだけで、分体が数十体真っ二つになって戦闘不能になってしまう。
なので、俺が絶えず分体を追加し続けないと、モンスターマンティスがこちらまで来てしまう。
それにしても、スライムゼリーだから真っ二つになった程度で戦闘不能にならないはずなんだけど。
(どうやら、あの鎌、物体だけでなく。魔力を斬ることもできるようで、分体は魔力を介して操作していますので、あの鎌で斬られてしまうと、操作が出来なくなってしまうようです)
相性最悪って訳か。
伊達にBランクじゃないってことだろうな。
兎に角物量で、その場に押さえつけといて。
もし無理そうだったら神代ルーン魔法で足止めするから。早めに行って。
神代ルーン魔法を安全に使えるのは一日一回までなので、無駄遣いは出来ないけど。
使わなきゃって時は迷わず使うべきだろう。
(承知致しました)
「うざったいな!」
近づいてきた虫型の魔物を殴って後ろの方に飛ばす。
沙希の方を確認してあと10秒もあれば、魔法陣も完成しそうだなと思った瞬間。
モンスターマンティスの方から死の気配を感じ取った。
その瞬間何も考えずに神代ルーン魔法で土の壁を作り出す。
土の壁が完成するのと同時に周りの木々が次々と倒れる音が森の中に響き渡る。
何が起きた?
(モンスターマンティスが鎌に魔力を集めて地面と平行に一回転斬りした結果です)
なるほどな。ほんと恐ろしい斬れ味してるな。
周りの魔物もほとんど縦に真っ二つになってるよ。
咄嗟に神代ルーン魔法を使わなきゃ俺達もそうなってたな。
沙希が魔法の準備が整うまで、守るために3人がかたまった陣形で戦ってたのも運が良かった。
そうじゃなきゃ、土壁の範囲から外れて死んでただろう。
「勝吾これを使って」
「流石にこれを使うのはもったいないでしょ?」
「これ以上時間をかけたら死人が出る」
それもそうか……
沙希から槍を受け取る。
「凍り付け!」
沙希が魔法を発動させたことで、生き残っていた魔物が凍り付く。
モンスターマンティスはHPが、まだ現在のようで、凍り付くことなく、こちらを見ている。
「魔槍ゲイ・ボルグ起動。ターゲット補足」
渡された槍の刻印術を起動して、モンスターマンティスに向かって投擲する。
「いくら斬れ味のいい鎌だろうと、投擲されたその槍を迎撃するのは無理だよ。神すら殺す槍をお手本に作ったものなんだから」
モンスターマンティスは投擲された槍を鎌を振り下ろして叩き斬ろうとするけど、ゲイ・ボルグは鎌をあっさり貫通しモンスターマンティスの胴体を貫く。
役目を終えたゲイ・ボルグは粉々に砕けてしまった。
ゲイ・ボルグが砕けるのと同時に胴体を貫かれたモンスターマンティスも光の粒子になって消える。
「何とかなったか……ゲイ・ボルグを失ったのは痛すぎるけど」
あれは、神代ルーン文字を習っている時に見本として、スカサハから見せてもらった。本物のゲイ・ボルグに付与されていた神代刻印術を現代刻印術で再現して使ったものだ。
本物に比べたら月とスッポンレベルだけど。
それでも俺たちの最終兵器であったことには変わりない。
本物は分裂するし、貫かれた相手は即死するし。
何度も使えるし、まじで滅茶苦茶な武器だからな。
それに比べたら、狙った敵を確実に貫くことはできるけど。即死させる効果はついてないし。分裂もしない。オマケにいっかいつかうと壊れる。即死効果はついてないけど。基本致命傷になるようにゲイ・ボルグは貫いてくれるので、殺すことはできるんだけどね。
俺が作ったゲイ・ボルグに貫かれた対象が死ぬ前に傷を治すことができる存在がいると普通に助かってしまう。
本物には回復不可もついてるんだったけ?
即死するから、その効果が意味があるのかは謎だけど。
「とりあえず。急いで一度、森から出よう次にBランクの魔物に遭遇したら、ほんとに死人がでかねない」
神代ルーン魔法もゲイ・ボルグも使えない状態だからな。
今遭遇したら、まともにダメージを与えられるのは沙希しかいないことになってしまう。
ドロップしたカードの回収は分体に任せて、自分たちは急いでテントに戻った。
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