第48話
「あれ?ロキさんじゃん。ってことは、ここって夢の中?」
調子に乗って神代ルーン文字を使ってルーン魔法を使った反動でぶっ倒れた。
辺りを見回すと、泊まっている宿の部屋なので、数日経過して目を覚ましたってことで良いのかな?って思ったけど。
異世界の神ではなく地球の神が目の前にいることで、そうでは無いと確信する。
「やっほ〜勝吾ちゃん。異世界生活楽しんでる?」
「まぁ、ボチボチ。地球より魔力と相性がいい素材が、わんさか有りますし」
「勝吾ちゃんからしたら宝の山だよね〜。まぁ、この世界の神が、君たちを異世界に誘拐するために二つの世界を繋いだせいで、地球にもダンジョンが現れちゃったんだけどね。本当、めんどくさい事してくれるよね」
マジか……
いつの間にか、地球にも魔物が出現するようになっていたらしい。
「まぁ、地球は阿鼻叫喚の地獄絵図。僕たちも焦って、この世界と似たようなシステムを導入したけど。人間の文明は崩壊。生き残った人達が、文明を一から再建している感じだね」
「スキルなくたって、魔法使いとかいるのに、文明が完全に崩壊しちゃったの?」
「魔法使い達だって自分の身を守るので精一杯だよ。建物とかが全て使えなくなってしまった訳じゃないけど。文明としては崩壊しているって判定で間違ってないだろうね」
成程ね。でも、ロキさんはその現状、嬉々として楽しむ側でしょ?
「まぁね〜。生きようと必死に生きる人間の姿は本当に美しい。見ていて飽きないよね。手伝ってあげたくなっちゃうぐらいに」
神からしたら人間がどうなろうと、関係ないだろうし。
力を貸してくれるだけマシなんだけど。
さすが悪神と呼ばれるだけはあるって思っちゃうよね。
「いや〜照れるね!!」
褒めてないんだよな〜。
「で、如何して俺の夢の中に?」
「勝吾ちゃんは、ここ数百年の中で、1番飽きがこない玩具だからね。玩具が汚れたり、傷ついたりしたら。持ち主はしっかり直して、綺麗にしなきゃいけないでしょ?」
苦笑いをするのが精一杯で、返事は愚か声をだすことすら出来ない。
やっぱ悪神だ、この神。
ペットどころか玩具か……
まぁ、存在を認識されて、大事にされてるだけマシってもんだろう。
「そうだよ。玩具なんて新しいのを買えばいいからって、ちょっと汚れたり傷ついただけで、捨てちゃうのだっているんだよ?
寧ろ、僕はメンテナンスをして大事に長く使ってるんだから。悪神じゃなくて善神として崇められるべきだと思わない?」
自ら悪神であることを望んでいる癖によく言いますね?
「別に悪神と呼ばれることを望んでいる訳じゃないよ?善悪なんて意味の無い分類だしね。見方を変えればコロコロ変わるものだし。僕の行動は多くの人間から見たら悪だと周りが言うだけで、僕自身は自分が楽しいって思うことをしているだけだよ」
確かに俺からしたら。沙希を助けるために力を貸してくれた、素晴らしい神様だからな。
かと言っても妄信的に信仰している訳じゃないけど。
「それでいいんだよ。イエスマンなんてつまらないからね〜。じゃ、早速。傷を治しちゃおっか。神代ルーン魔法を自由に使えるようになりたいなら。レベルを上げると良いよ」
神代ルーン魔法か、確かにそれで、意味はしっかり伝わるな。
となると、いつも使ってるルーン魔法は、現代ルーン魔法って呼べば、分類しやすいか。
と言うかレベルを上げるだけで、神代ルーン魔法使えるようになっちゃうの?
「なっちゃうよ〜。神代の人間が神代ルーン魔法を使えてたのは、神代には地球にもレベルシステムが存在したからだしね。まぁ、最近復活した訳だけど。良し!これですぐに目が覚めるはず」
まだ色々と聞いておきたかったけど。意識が朦朧としてきた。
夢の中で意識が朦朧として来たのは、現実で意識が覚醒していている証拠だ。
またね〜と手を振るロキさんに見送られ意識を手放した。
「誰もいない……と言ってもルーン魔法でガチガチに防御が固められてるな」
夢の中でも全く同じ場所にいたので、なんか変な感じだけど。こっちが現実のはず。
(マスター。予定より随分早いお目覚めですが、大丈夫ですか?)
あぁ、善意の第三者が助けてくれてね。そのお陰で早く起きることが出来た。
(善意の第三者?なんですか、その胡散臭そうな人物)
まぁ、胡散臭いって言葉を擬人化したような存在だよ。
人じゃないけど。
(あんまり触れない方がいい存在だって言うのは理解しました)
まぁ、その通りだな。
2人は?
(騒ぎが起きてる場所にアレーネ様を連れて行くのは、戦闘になった時に危険という訳で、別行動を取っていたので、沙希様が迎えに行っています)
そういう事ね。それなら、帰ってくるのを大人しく待ってよう。
今回俺が調子に乗ってぶっ倒れたの沙希は怒ってるだろうし。
少しでも、お説教の時間を少なくするために、反省していますアピールをしておかないと。
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