第45話
分体にペッという感じで、吐き出された全裸の騎士2人に向かって、麻痺の効果を付与した小石を投げる。
騎士なら状態異常耐性を付与する装備とかつけてそうだから、初手で麻痺を使うことはなかったけど。
全裸になった今なら麻痺が通るんじゃない?と使ってみたけど、動きが鈍くなるぐらいで完全に動きを止める事はできていない。
すぐに普通に動けるようになっちゃいそうだな。
状態異常耐性が手に入る装備をしてなくてもレベルが上がれば、多少は状態異常への耐性
が上がるか。
取り敢えず。ルーン魔法で地面から蔦を生やして騎士2人を簀巻きにする。
何か、ルーン魔法の威力が上がっている気がするんだけど。
いつもより蔦が太くなっている。
(この世界はレベルが上がることによって身体能力が上昇しますが、それだけじゃなくて、魔力やHPも上昇します)
それは知ってる。魔導知能が説明してくれたし。
(それだけではなく、ゲームで言う魔法攻撃力的なのも上がるんですよ。これが高ければ高いほど、魔法の威力が高くなります)
そんな恩恵もあるのか。
と言うか、この世界の魔法じゃないのにそのシステム適応されるんだ。
(もし、ルーン魔法に、この世界のシステムが適応されないと言うならHPも貫通しないと可笑しいですからね。それならそれで、良かったのですが……)
成程。ダメージを肩代わりしてくれるHPと言うシステムがルーン魔法にも適応されてるんだから。
魔法攻撃力が上がれば、魔法の威力が上がると言うシステムも適応されるはずって訳か。
確かにシステムが適応されなかったらされなかったで、ルーン魔法で無双できてたかもな。
沙希が。
俺の場合、火力が上がってくれる方が恩恵があると思う。
いくらHPを貫通できても、俺が使えるルーン魔法の威力じゃ大したダメージを与えられなかっただろうし。
なので個人的には、レベルを上げていけば火力が上がってくれるこっちの方が有難い。
(それもそうですね。ところで、残りはどう調理しましょうか?速攻で2人無力化されて、かなりこちらのことを警戒しているようですが。ちなみに、奴らの剣。エルガルド家のご令嬢を襲撃してた盗賊もどきと同じ鉄でコーティングしたミスリルのロングソードを使っているようですね)
それってこの世界では普通のことなの?
報告してきてる時点で普通じゃないんだろうけど。
(冒険者であれば、無くはないです。個人がミスリルの装備を所持しているとなれば、狙われることもありますから。しかし、貴族の関係者となれば話は別です。寧ろ、自慢するために隠蔽などせず、見せびらかすはずです。こう言うタイプの貴族なら尚更)
成程。良くわかった。
となると、あの盗賊モドキ達と関係ある可能性が高いと……
逃がすつもりは無かったけど。ますます逃がせなくなったな。
後始末はティリス教に任せるつもりだったけど。
恩を売りつつエルガルド家に後処理を任せるって言う選択肢も出てきたな。
最終的に両方の力を借りるのが、逆恨みで、あのオークの家から狙われるってこともなくなりそうだ。
「双方、直ちに戦闘行為を止めてください。やめない場合。エルガルド家への敵とみなします」
睨み合いを続けてないで、とっととケリをつけようと思った瞬間。騎士が一人乱入してきた。
発言的にエルガルド家の騎士だな。
と言うか。あの時エルガルド家のご令嬢を守りながら逃げてた人だったか。
エルガルド家がどんな感じの家なのか分体で調べた結果。
すごい野心家って感じじゃないし、傲慢って感じもしない。特に敵になることはないかなと思って早めに撤退させたけど。
その後にグラフェンまで騎士を派遣することを決めたのかな?
数人、分体の存在に気づきかけてた人がいたから少し早めに撤退させたんだけど。
失敗だったかな?
まぁ、エルガルド家の騎士と遭遇したところで問題はないから失敗でもないか。
「申し訳ございませんが。如何してこうなったのか説明をして頂くためご同行いただけないでしょうか?」
そう、俺の方を向いて話しかけてくる。
流石にただの騎士じゃ、貴族を拘束したり出来ないわけか。
話を説明するぐらいは構わないけど。
その間にあのオークに逃げられるのは癪だな。
後、あのドヤ顔がまじでウザイ。
醜い笑顔ってのはああ言う事を言うんだろうな。
と言っても、ここで暴れてもな。
ここは一旦、大人しくエルガルド家の騎士について行くか……
(あ〜沙希様達が帰って来てしまいましたね)
「勝吾。これはどういう事?」
「ホント、何なんだろうね?従魔のスライムを盗もうとした賊と戦闘してたんだけど。任意の事情聴取として連行されるところ?」
「どうする?全員殺す?」
沙希さんや初手からそれは、ちょっと過激すぎじゃないかな?
もしかしなくても、相当キレていらっしゃる?
さっきから表情が真顔から一切変わってないもんな。これは本気でキレてる時の沙希だ。
取り敢えず。1度落ち着かせないと。ここら一帯が何も無い土地になりかねない。
「沙希。ステイ」
「むぅ〜」
落ち着かせるよりこれの方が早いな。
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