第44話
「そうなると、ボロっちいレンタル馬車を売る訳には行かないよね〜。まぁ、聖人相手にボロっちい馬車を売る訳に行かない、って言えば上もダメだとは言わないだろうからちょっと待てって」
そう言ってケルラさんが部屋から出ていった。
まぁ、少しでもいい物が手に入るなら、それの方が良いか。
大人しくケルラさんが来るまで座って待ってるか。
と思ったけど、待つまでもなくケルラさんが帰ってきた。
「流石に新品では無いけど、レンタル馬車よりは全然マシな馬車を売る許可取ってきたよ〜」
3分もかからなかったと思うけど。
「じゃあ案内するよ〜」
「あ〜。本当は先に馬車を確認してからの方が良いんでしょうけど。買うのはもう確定ですし。先にお金払っちゃいますよ」
商人連合会の方も普通はしない事を俺に対してしてくれてる訳だし。向こうの言い値で買うつもりだし。
また、ここに帰って来てお金を払うの面倒臭いし。
「あ〜。それなら、預かってるお金から引き落とせるから、受付でカード貸して貰えるだけで大丈夫だよ〜」
商人連合会でならそう言う支払いの仕方できるのか。
凄い近代的だな。
「そうそう、出発するのを引き止めたい訳では無いんですが。最近、ここら一帯の領主様の一人娘が狙われて。かなりピリピリしていているので、巻き込まれないように注意してくださいね」
馬車を購入して、次いでに、レンタル馬車の清掃を分体にさせている間に、ケルラさんからそんな話を聞かされれる。
もう一度巻き込まれてるんだよな〜。
下手すると、アレーネが捕まっていた盗賊もそれと関係してた可能性もあったんだよな。
下手したら、エルガルド家と敵対している連中に目をつけられてる気がする。
襲われたなら叩き潰すだけだけど。
と言っても、相手の中にかなりレベルが高い奴が混ざってる可能性が高い。
貴族と敵対してる勢力なんだし。
油断はしない方が良いだろう。
「情報ありがとうございます」
と言っても、次の目的地はエルガルドを通過して南に進む必要があるから、巻き込まれる事になると思うんだよな。
「それで、どうやってスライムに馬車を引かせるんですか?」
まぁ、気になるのは当然か。
堂々と使うつもりだから隠したりなんてしないけど。
分体の姿を楕円形のクッションから馬に変化させて、馬具をつけて馬車とくっ付ける。
「優秀過ぎませんか?そのスライム」
「そうですね。最初はテイムの練習のために従魔にしただけだから、すぐ逃がす予定だったんですけどね。もう手放せないですよ」
ケルラさんにお礼を言って商人連合会を後にした。
凄い見られたけど。御者が必要が無いのは楽だな。
泊まっている宿の駐車スペースに馬車を止めて、衝撃吸収の効果を付与するために作業を開始する。
幌馬車なので、態々中を覗きにでも来ない限り、刻印術を使っているところを見られる心配ないし。
衝撃吸収の効果を付与するだけなので、完全に日が落ちる前に終わらせることができた。
二人は、まだ宿に帰ってきていないみたいだけど。オッチャンのの作る夕飯を食べて部屋に戻って、二人の分の拳銃の仕上げをするか、と幌馬車からでようとすると、なんだか外が騒がしい。
もしかしなくても面倒事だな。
身体強化をして幌馬車から出ると。
高そうな服を来たオークのガキと全身鎧を来た騎士が分体と戦闘していた。
「なんでオークのガキが服を着て村の中に入ってきてるんだ?」
「なっ!?平民の癖に。なんて言う口の利き方。躾のなってない従魔と言い絶対に許さん!スライムごときに手こずってないで早く殺せ!」
初手から煽ったと言え、殺意高いな〜
それにしても、如何してこんなことになってるの?
魔導知能説明プリーズ。
(マスターが幌馬車の中で作業している間に、分体を連れ去ろうとしたので、此方から攻撃はせずに逃げ回っていたのですが。
捕まらないことにイライラして、ここまでここまでヒートアップしてしまったと言った感じです)
で、俺の煽りがトドメをさしたと……
相手はおそらく貴族だろうし。やりすぎると大きな問題になりそうだし。
どんな感じで、無力化しようかと考えたいところだけど。
今はそんな時間は無い。
早く倒さないと、沙希が帰ってきてしまう。
そうなってしまうと、目の前の連中は殺される事になるし。そうなると最低でもオークの親と全面戦争することになる。
それに周りの被害も凄いことになるだろう。
取り敢えず。殴って黙らせるか。騎士に接近して他の騎士に向かって殴り飛ばす。
革手袋に付与した効果のおかげで、全身金属鎧を着ているのに面白いように吹っ飛んでいく。
ダメージは無いけど。騎士2人の動きを止めることに成功する。
吹っ飛んで行った騎士が他の騎士の上に乗っかるような形で地面に仰向けに倒れている。
チャンスとばかりに分体がその騎士たちを体の中に取り込んで、武器と防具を全て溶かして吸収してしまう。
あっという間に騎士2人が全裸になってしまった。
敵からしたら、装備を一瞬でダメにされるとか、悪夢だろうな。
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