第42話

「勝吾、醤油使う?」


キノコや肉を焼いていると沙希がそう言って使いかけの醤油を手渡してくる。


醤油!?

嬉しいけど。JKが醤油を持ち歩いてるってどうなの?

異空間収納が有るからと言って。


まぁ、お煎餅を大量に仕舞っている時点で、普通のJKではないよな。


有難く使わせてもらうけど。


「言っておくけど。何時も持ち歩いてるんじゃなくて、この間の無人島BBQで使った物を私が預かってただけ」


そういうことか。確かに、異空間収納内は時間が完全に止まってるから。食材を仕舞っても腐らないしって調味料とか食材の残りを仕舞ってもらってたな。


「沢山ある訳じゃないから普通に使ったらすぐに無くなっちゃうけど」


それは仕方ない。

でも、あのBBQした時。オツマミとして枝豆持ってきてる人がいたよな。

俺が塩茹したから間違いないはず。

全てを塩茹にした訳じゃないから。生の枝豆が残ってるんじゃない?

材料の1つが手に入った訳だし。麹菌さえ用意出来れば醤油に味噌を作れるようになるだろう。

大豆だけで作れる訳じゃないし。麹菌の用意するのが簡単じゃないから、楽には作れないと思うけど。

魔導知能と鑑定スキルが有れば、なんとかなるだろう。


魔導知能が鑑定を使うと俺が鑑定スキルを使うより細かい情報が分かるらしいからな。

この世界の情報を保管しているサーバー的なものにアクセス出来からだとは思うけど。


美味しいご飯を食べたいから、調味料作りはできる範囲で頑張るつもりだ。


久しぶりに醤油を使って味付けした料理は滅茶苦茶美味しかった。


「久しぶりに美味しい料理を食べられて大満足。ところで、これからの予定どうする?」


「それは今日の話?それとも、今後どう動くかって話?」


「後者について。最初は初心者ダンジョンでも比較的上がりやすいって言われているレベル10までゆっくり上げて次の場所にって思ってたんだけど。そこまで慎重になる必要は無いかなって。もっと強い魔物が出てくるダンジョンに行って、レベル上げをした方が、結果的に安全に繋がるかも知れないし」


レベルが高い方が身体能力は上がるしダメージを肩代わりしてくれるHPも増えるんだから。


無理して格上の魔物と戦うってわけじゃないし。

もう、初心者ダンジョンでチマチマレベルをあげる必要ないんじゃないかな?


「勝吾の意見に賛成だけど。久しぶりに醤油を使えて早く醤油を自作できるようになっただけでしょ?」


流石、沙希。良くわかっていらっしゃる。

せめて、今使える醤油が無くなる前に自作できるようになりたい。

いや、それは流石に無理なのはわかってるけど。

だからこそ急ぎたいじゃん。


「今までが慎重すぎたってだけで、無茶をするわけじゃないし。慎重すぎた結果。よく分からない勢力に絡まれた時に苦労するって可能性もあるじゃん?後、モチベーション維持のために美味しい食事というのは重要だと思います」


「勝吾はそうだとして、アレーネはどうしたい?数日前まで、戦闘なんてまともにしてこなかったのに、魔物のランクを上げても大丈夫?」


「ランクの高い魔物を見たことが無いわけでは無いので、大丈夫です。自分が戦うってなったら怖いけど。勝吾さんと沙希さんがいれば問題ないと思いますし」


どちらかと言えば、沙希がいればだけどね。

Cランクまでなら、俺一人でも倒せることは分かってるけど。

それ以上となると。まぁ、難しいだろう。


Cランクを倒すのだって1人じゃ時間がかかるだろうし。


でも、沙希ならもっと上のランクでも問題なく倒せるだろう。


「それで、次はどこに行くのか既に決まってるの?」


「俺の進化の為に、グールが普通に出てくるダンジョンに行こうと思ってる。魔導知能に相談したら、いい場所を教えてくれたし」


グールがドロップする魔銀が必要だという事を説明する。


「未発見のダンジョンですか……中ボスやダンジョンボスは初回討伐時にドロップが豪華になると聞いていますけど。その分敵の強さは未知数ですし。ダンジョン内のトラップの位置も判明してません。それなりにリスクがあると思いますよ」


「トラップか……ルーン魔法の罠探知で探せると思う?」


ルーン魔法はこの世界の魔法じゃないからな。ダンジョンの罠を感知できない可能性もある。


「多分大丈夫だと思うけど。確実性を取るなら。既に地図が完成していて、罠の場所が判明しているダンジョンで試してみるべき」


それの方が安全か。

調子にのって罠で死んじゃいました。なんて

最悪だし。


魔導知能、そんな感じの手頃なダンジョンってある?


(ダンジョンボスを討伐して完全攻略されたダンジョンでは有りませんが。街が近くにある中級ダンジョンが有ります。上層の地図なら購入出来るのではないでしょうか?)


中級ってことは、ここのダンジョンより強い魔物が出てくるだろうからレベル上げもできるし。

近くに街があると言うことは、それなりに冒険者で賑わってるだろうから。最初の方の階なら地図が売ってたりするだろうってことだな。


でも、特に冒険者のランクが上がっていない俺たちが中級ダンジョンに入れるかな?

ランク制限とかされてそうじゃない?


(確かにそうですね。一定レベルの実力がないならただ死ぬだけですし。態々ランク制度があるのだから、ランクによって入れるダンジョンが制限されている可能性が高いです)


となると、地道にランクを上げるか。未発見のダンジョンに勝手に入るかだけど……


無難にランクを上げた方が堅実だよな。



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読んで頂きありがとうございます。




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