第39話
「イメージとしては弓より遠距離を狙いやすい飛び道具って感じかな」
「弓より性能のいい遠距離道具ですか……」
エルフにその例えはまずかったかもしれない。
エルフって弓の名手である事が多いイメージだし。
俺が想像してる弓の威力をはるかに超える可能性もある。
「先に言っておくけど。弓の威力はエルフ基準じゃなくて、人間基準ね?」
「やっぱり、実物を見ないと判断ができませんね」
まぁ、そうだろうな。
「そう言えば、お煎餅とか異空間収納にどのぐらい残ってるの?」
お米は発見できてないし。醤油だって存在しないっぽいから。食べきっちゃったら、こっちの世界でお煎餅が食べれなくなっちゃう。
と言うか普通に米も食べたい。なので、米探しの旅に出たいって気持ちもあるんだけど。
自分たちの身の安全を確保できてからだよな。
(米がある場所は既に判明していますよ?)
まじで!?
(はい、魔獣大陸と言う魔物のみが生息する大陸に自生しています)
なんと言うかすごい物騒な名前の大陸だね?
(魔物の楽園とも言われる大陸で、そこにいる魔物は身体能力が強化されて、別の大陸にいる同じ種類の魔物よりランクが2つ高いものとされています)
魔獣大陸にいる魔物は最低でもEランクってことか。
(それだけではなく、魔物は最大HPが1、5倍魔物以外の生物のHPは2分の1になると言うおまけ付きです)
まさに魔物のためにある大陸だな。
米のために今すぐ行こうってのはやめた方が良さそうだ。
(そもそも、魔獣大陸まで船を出そうなんて人はいないと思うので、海を超える手段を自分たちで用意するところから始める必要が有りますからね。どちらにしろ今すぐにと言うのは難しいと思いますよ)
船を造るか、空を飛ぶ乗り物を造るか。
それ以外の手段も考えられるけど。
帰って来れないみたいな最悪の自体は避けたいし。複数の手段を用意する必要があるだろうな。
「お煎餅だったら、まだ10kgぐらいあるから、当分は無くならない」
いくら異空間収納が有るからってなんでお煎餅を10kgも保管してるの……
「ひとつの味を10kg保存しているわけじゃないよ?色んな味を少しづつ保存してあるの」
それはそれで、何種類のお煎餅を保存してるのか気になるところだけど。
これ以上追求するのはやめておこう。
(マスター。拳銃の作製完了致しました。パーツ毎に吐き出しますので、組み立てお願いします)
数時間ぶりに魔導知能が話しかけてきたなと思ったけど。
そういうことか。
ハンドガンぐらいなら、全部バラバラにして組み立てたことも有るから任せて。
分解できるものは、パーツ毎に刻印術で効果を付与することも可能なので、パーツ毎に硬質化を付与して耐久度を上昇させる。
バネに硬質化を付与するとバネとして使えなくなってしまうので、バネには防御力上昇の方を付与した。
こっちだったらバネとして使える状態のまま耐久度を上げられるからな。
ファイアリングピンに衝撃を付与するのも忘れない。
と言うかそれを忘れたら銃として使えないからな。
銃の本体のパーツ毎に効果の付与が終わったら、ようやく組み立てだ。
組み立て終えた頃には外が明るくなってきていた。
どうやら、徹夜してしまったらしい。
弾丸にも刻印術で効果を付与して……と行きたいところだけど。一度寝よう。銃の保管を魔導知能に任せてスライムベットに飛び込んだ。
ー沙希sideー
「こんなにしっかり寝れたのは、久しぶり」
この世界に来てから、警戒を待ったくせずにリラックスした状態で眠れたのは初めてだ。
勝吾とは離れ離れになっちゃってたし。
勝吾の友人とは言え男がいたし。
その男が何処からか拾ってきた駄猫が私のことを性的に襲わせようと焚きつけるし。
同じ男の妻にしちゃえば、便利な魔法使いを仲間にできるとでも思ったのかほんと迷惑なやつだった。
直接では無いけど、魔導知能越しに勝吾と会話が出来なかったら。ブチ切れて大暴れしてたと思う。
まぁ、私も同じようなことはしているので、無駄に騒ぎにするつもりは無いけど。
魔導知能がこの世界の常識を色々おしえてくれるとしても。
この世界産まれの信用出来る協力者は絶対に必要になる。
盗賊に捕まって死ぬより最悪な目にあう直前に助けられて、その後も優しくしてもらって勝吾に惚れていたアレーネは裏切る可能性が低い協力者として丁度良かった。
幸運っていう便利なスキルも持ってたし。
まぁ、両者合意の上なんだから。駄猫よりはまし。
「あっ起きてたんですね。沙希さんおはようございます」
「おはようアレーネ。1人で外を歩いてナンパとかされなかった?」
まぁ、私たちと会う前は冒険者を護衛として雇って行商をしてたんだから。
ナンパされたとしても、対処ぐらいできるか。
「エルフって、種族特性で精霊と契約して使役することができますからね。無理にナンパすると痛い目に遭うってイメージを持たれるんで案外ナンパされないんですよ。まぁ、3人ぐらい道のど真ん中で服を切り裂いて上げましたけど」
結局、ナンパされてるじゃん。
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