第31話
「それにしても、ドロップしたカード全部魔銀か……丁度欲しかったからありがたいけど」
魔銀ヒューマンスライムに進化する為に魔銀を集めなきゃいけないから、こんな簡単に手に入るのは幸先がいいとも言えるけど。
魔銀がドロップするのは低確率とか言ってなかった?
(そのはずなのですが……マスターの
運が恐ろしく良かった又は……)
神がドロップを操作したとか?
なんか光神ティリスに凄い気に入られているっぽいし。
気に入られてると言うよりかサポートしてくれてるって言う方が正しいのか?
「多分。それ私のせいです。私の唯一持ってるスキルが〈幸運〉ってスキルなんです。それが発動して、ドロップ率が低いものがドロップしたんだと思います」
魔導知能いわく、確率で魔物のドロップが確率の低いものばかりになったり。
カードの枚数が増えたりするスキルだそうだ。
ちなみに魔物のドロップ以外には全く効果がないスキルらしい。
まぁ、それ以外にも効果があるなら盗賊に捕まったりしないよなとは思うので、魔導知能の言う通りなんだろう。
それにしても、戦闘センス皆無なアレーネさんからしたら、このスキルは大ハズレだろうな。
周りにバレでもしたら、ドロップを良くするためだけに無理やりダンジョンに連れていこうとする人が大量に沸いて来るだろう。
「アレーネさん教えてくれて有難うございます。アレーネさんが俺の事を信用して教えてくれたんだから。〈幸運〉のことは絶対に言いふらしません」
「いや。本当は勝吾さんがヒューマンスライムだって教えてくれた時に話すべきだったのに……隠していてゴメンなさい」
「俺だってまだ話してないこといっぱいあるし、謝る必要ないですよ。次の大部屋が見えてきましたし。魔物を倒すことに集中しましょう」
このダンジョンじゃ連続してDランクモンスターがポップすることはないだろうしそこまで気を引き締める必要はないだろうけど。
大部屋に足を踏み入れると赤い毛が全身に生えた猪がポップした。
(あれはフレイムボアですね。Eランクのモンスターで、鼻から火炎放射器のように火を吹くのが特徴です)
フレイムボアか、確か昨日の夜ご飯に出てきたステーキがフレイムボアの肉だった気がする。
脂がしっかりのっていて、味付けが塩だけでもそれなりに美味しかった記憶がある。
そのお肉をドロップするフレイムボアが2匹。
一匹は俺が倒すとして、もう1匹をアレーネさんの精霊だけに倒させるか俺も手伝うか……
Gランクモンスターのコボルトを倒すのにも最低でも、6回攻撃する必要があったし。
コボルトよりランクが2つ高いフレイムボアと精霊のみで戦わせるのは危ないか。
麻痺の効果を付与した小石をフレイムボアに投げつける。
フレイムボア2体は地面に倒れて痙攣している。
「流石に精霊だけに戦わせるのはリスキーだと思ったので、動きを止めました。今のうちに倒してください」
二匹とも動きを止められてるわけだし。折角だから二匹ともアレーネさんの精霊に倒させる。
さっきまでみたいに緑色をした三日月状の刃で攻撃するのかなと思ったら。
もっと強い攻撃をするつもりらしい。
精霊は見えないけど。アレーネさんの少し前に魔力が集まっていくのを感じる。
多分、魔力が集まっている場所に精霊がいるんだろうな。
一箇所に集まった魔力が解き放たれた瞬間。
フレイムボア2匹を巻き込むように小さな竜巻が発生した。
竜巻の中では緑色をした三日月状の刃が縦横無尽に暴れ回って、フレイムボアを切り刻んでいる。
フレイムボアのHPが削り切れるまでは見た目の変化はなかったけど。
HPがゼロになって本体にもダメージが入り始めると、フレイムボアにできた切り傷から血が吹きでて竜巻に巻き込まれて竜巻がどんどん赤く染っていく。
これ、相手を竜巻の中に閉じ込めて、失血死を狙うっていうかなり恐ろしい攻撃なんだ…
人のこと言えないけど、かなりおっかない攻撃だな。
フレイムボアが死んで、光の粒子になって消えたことで血も消えて竜巻は普通の色に戻った。フレイムボアが倒れたなら維持する必要もないので、直ぐに解除されて竜巻は消えた。
「かなり魔力待っていかれました……」
精霊は自前の魔力を使って攻撃するけど。
契約者の魔力を使って魔法を使うことが出来る。
レベルが低い状態でも、時間をかければ。それなりに威力の高い攻撃も出来るんだなと思ってたけど。
アレーネさんの魔力まで使う必要が有るのか。燃費はあんまり良くなさそうだな。
レベルが上がれば魔力量も上がるし。攻撃力も上がるから気にする必要はないか。
一気に魔力を消費したことで少しフラフラしているアレーネさんには少し座って休憩してもらいつつ。
俺はフレイムボアのドロップしたカードを拾いに向かった。
E、F、Gランクのモンスターはカードを1枚しかドロップしないので、今回は2枚だな。
カードを確認すると、1枚はフレイムボアの肉、もう1枚はフレイムボアの火袋と言うアイテムだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んで頂きありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます