第29話

「これがダンジョンの入口?」


天然酵母の準備が終わったらすぐに寝て。

朝早くからダンジョンに来ている。

村から出て少し歩くと、掘っ建て小屋が立っていて中に入ると地面に魔法陣が。

魔法陣の上に乗るとダンジョンの中に転移するらしい。

それなら一度行ったことがある階層はスキップとか出来たりするの?って思ったけど。

そこまで優しくは無いらしい。

転移する場所は1階層目のスタート地点のみだそうだ。


早速魔法陣の上に乗ってダンジョンの中に侵入した。


「俺たちの前に入った人が見当たらない?」


俺たち以外にもダンジョンに侵入した人はいっぱい居る。

俺たちが侵入する前にも4人パーティーが魔法陣の上に乗ってダンジョンに侵入している。


時間はほぼおいてないから、視界内にいるかと思ってたんだけど。


(もしかしたら、スタート地点が複数あって、スタート地点で渋滞しないようになってるのかもしれませんね)


確かにスタート地点が一箇所だとそこで渋滞しちゃうよな。


あんまりここでのんびりしていると、冒険者が転移してくるかもしれないので、先に進む。

先に進む道が3つあったので、今回は適当に3つある通路の真ん中を選択する。


選んだ道を進んでいると、大部屋が現れる。

魔物は一匹もいないけど、大部屋に入ると魔物がポップするようだ。


「アレーネさん準備は良いですか?」


「だ、大丈夫です」


かなりガチガチだけど。

まぁ、アレーネさんが直接戦う訳じゃないし問題ないか。


大部屋に足を踏み入れるとオオカミをそのまま人型にしたような魔物がポップした。


あれはコボルトで合ってるかな。


(マスターの想像通り、ゴブリンと同レベルの魔物コボルトですね。ただし、毛皮をドロップ売るので、ゴブリンよりはお金になります)


成程?

とりあえず。ゴブリンと同レベルって言うなら心配はないか。

と言ってもいきなり複数体と戦わせると事故るかもしれないし。一体残して全部倒すか。


コボルトに投斧を投擲する。

投斧コボルトの肩に突き刺さると、放電してコボルトを丸焦げにする。

コボルトは光の粒子になって消える。


これで残りは2体。

俺が倒すのは残り一体だね。


コボルトに接近して軽く殴る。


すると、勢いよくコボルトが吹っ飛んでいって壁に激突する。

コボルトは口から血を吐いて地面に倒れて光の粒子になって消える。


ライノオックスとかいう魔物の革手袋がどこぞのヒットマンがつけてそうな感じでかっこいいなと思って買って、衝撃の効果を付与してみたけど。

思ったよりいい感じだな。

ゴブリンの棍棒よりもノックバックが強化されてる。


ああやって壁に叩きつければ、いいダメージ入るだろうし。

強い敵と戦闘になった時に吹き飛ばして、逃走するってことにも使える。

一見ただの手袋ってのがいいよね。


問題は、今来ている服とビックリするほど合わないってところだけど。


この世界、かなりお金はかかるけど。逆にお金をかければしっかりした服が手に入るみたいだから、スーツでも作ってもらうか?


別にスーツじゃなくても革手袋に合えばいいか。

正直、服を選ぶセンスとかないし。


「さて、アレーネさん敵のコボルトはあと一匹です。精霊に指示して倒してください」


「シルフ。目の前の敵を倒して」


アレーネさんがそう言うと緑色をした三日月状の刃が現れて、コボルトに向かって飛んでいく。

コボルトにはヒットしたけど。コボルトは少し後ろにバランスを崩しただけでノーダメージだ。

HPで受けきられてしまったようだ。


それなら何度も攻撃すれば良いだけと言わんばかりに緑色した三日月状の刃がアレーネさんの周りに5つ現れる。

3発目まではコボルトに直接ダメージを与えることは出来なかったけど。4発目で左手。

5発目で首を切り落としてコボルトに勝利した。


アレーネさんと契約してる精霊だとコボルトを倒すのに最低でも、6回攻撃する必要があるのか。


本人が全く戦えない以上、複数体と同時に戦わせるのは危ないそうだな。



「と言うか。アレーネさん魔物と戦闘状態になるの初めてじゃないですよね?」


行商をしてるんだから、自分が戦うことは無くても魔物と戦闘して場面を何度も見てるだろう。


「いくら精霊にお願いするだけでいいと言っても自分で戦闘するとなるとちょっと緊張しちゃって…でも、もう大丈夫です」


大丈夫ってなら先に進もう。

俺たちが進んできた通路を含めて4つの通路が存在する。

これ、帰り迷いそう。


(どの道を通ったか私が記憶していますので、安心してください)


魔導知能にならその程度、朝飯前か。

今度は気分で右の通路に進む。


通路を歩いていると戦闘音が聞こえて来る。

どうやら先にある大部屋には先客がいるらしい。


「何あれゾンビ?」


大部屋では4人パーティーが動く腐乱死体と戦闘を繰り広げていた。



(あれはグールですね。ランクDモンスターで初心者ダンジョンにポップする魔物の中ではかなり強い部類です)


へぇ〜。確かに今戦ってる4人はかなり苦戦してるっぽいし。

初心者ダンジョンが適正レベルの冒険者からしたらキツイ相手なんだな。


腐ってるやつと戦闘したくないし引き返して別の道に行くか。


(因みにグールは低確率ですが魔銀をドロップします)


それを早く言ってよ。


「おい。助けは必要か!」


何も言わずに割り込んだら、後で文句を言われる可能性があるので先に声をかける。


「頼む!」


よし!ちゃんと確認も取れたし。魔銀のためにひと働きしますか。



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読んで頂きありがとうございます。





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