第28話

「まぁ、買い物行きましょう買い物」


洋服の変えすら持っていない状態だから買っておかないと、ということで村のお店で色々買い物した。


買い物を手早く済ませて宿に帰ってくると丁度夕食の時間だったので、食堂スペースでご飯を食べる。


全粒粉の種無しパンにフレイムボアと言う魔物の肉のステーキサラダ替わりのマッシュポテト。

ここまでが宿泊代に含まれていて、それ以外の水やお酒、スープなどは別料金だそうだ。


水、魔法で出して良い?って聞いたら普通におっけー貰ったので、水は買わずに魔法で出したものを飲んでいる。


想像したより不味くはないけど。美味しいってほどでもないな。


そこまで、調味料が開発されてないだろうこの世界でここまでの味なら充分美味しい部類に入るのかもな。


俺だって調味料なしで美味しいご飯なんて作れないし。

それに地球にいる時じゃ便利な調味料を簡単に買うことが出来たけど。


こっちじゃ調味料を自作するところから始めないといけない。


料理の難易度が高いよなこの世界。

まぁ、刻印術を駆使すればかなり楽できるから何とか調味料を作ることもできるかな。


取り敢えず。全粒粉パンでも問題ないから、酵母を使って膨らませたパンが食べたい。

保存食として、ドライフルーツ買ったから酵母作りからしてみるか。


ねぇ、魔導知能のここの料理の美味しさってこの世界からしたらどんな感じなの?


(値段から考えるとかなり上等な部類に入ります。ダンジョンがあるから魔物の肉が手に入り安いとは言え宿泊代3500ゴルドで肉がついてくるのはかなり良心的です)


成程。この宿が大当たりなのはわかった。


ご飯を食べきってから部屋に戻る。


取り敢えず。買ってきた服に着替える。


着ていた服は分体に突っ込んで汚れを吸収させる。


毎日そうやって綺麗にしてたから、服自体凄い汚れてる感じはしなかったけど。やっぱり数日同じ服を着るのは嫌だよね。


体についた汚れも分体に綺麗にさせようと思ったけど。体は一切汚れてないんだよね。

まぁ。ヒューマンスライムだし、汚れは随時吸収して綺麗にしてるから。



「ちょっと怖いですけど。すごい楽ですよね。濡れたタオルで拭くより断然きれいになりますし」


現在、分体のうちの一体がアレーネさんにまとわりついて汚れを綺麗にしている。


もうアレーネさんにヒューマンスライムであることを隠すのは面倒くさくなってきたので、ヒューマンスライムであることはぶっちゃけたので、分体をいっぱい作り出して作業をさせている。


取り敢えず。俺は明日ダンジョンに行くための準備をしなきゃ。


俺のと言うかアレーネさんのだけど。


アレーネさんが明日ダンジョンに着ていく予定の服を刻印術で強化していく。

ダンジョン入るのに最低限防具を買わないで良いんですか?って聞かれたけど。

お金が勿体ないって却下しちゃったからな。

最低限、革製のやすい防具よりは防御力を高くしとかないと。


「それにしても。本当に武器はいらないんですか?」


「私が武器を使うと、絶対に味方に当たってしまうので…」


絶対って……それが本当だとしたらそれはもう呪いかなにかだと思うけど。



実際呪いとかってこの世界に存在するの?


(珍しいですが呪い自体は存在しますよ)


魔法が存在する世界なんだし。呪いも存在して当然か。


「投げたら自動で敵を追尾する。投げ道具も作れるけど」


投げ斧があったからちょっと気になって買っちゃったから、そういった武器も用意できるよ?


「うーん……止めておきます。攻撃は精霊に任せればいいですし」


まぁ、無理に武器を持たせる必要も無いか。

と言っても精霊が魔物を倒してもレベルが上がるのは精霊だけで、自分のレベルは上がらないから最低でもトドメは自分で刺さないと自分のレベルが上げられないと思うけど。


とりあえず、明日ダンジョンで使う予定のものに刻印術を使って効果を付与していく。



「うーん。物騒な物を作るのはこれでおしまい。美味しいパンを作るために天然酵母を作ろう」


と言っても、成功するか分からないけど。


さっき買ってきた深めの木皿に〈温度保持〉と〈時間加速〉の効果を付与する。


温度保持は木皿の中に入っているものの温度を一定に保ってくれる効果があって。


時間加速は、木皿の中に入れたものの時間を加速させる効果がある。


そう言えば、人が入るサイズのマジックバッグを作って、それに時間加速を付与して寿命で殺すとか言うおっそろしい事考えてたな沙希。


と言っても地球にあった素材じゃ、頑張っても100倍が限界だったので、それなら普通に殺した方が早いってなったな。


外の時間で一年経過しても百年だからな。

半年で50年?

中から出てくる可能性だってゼロじゃないし態々、こんな殺し方する必要がないって結論だ。


まぁ、もっといい素材が手に入りそうなこの世界でだったら、そう言った使い方も出来るかもな。


基本は発酵食品の発酵とかお酒の熟成の時間を短縮するために使われることがほとんどだった。

後は精神と〇の部屋的な使い方してる人もいたな。

その時はもっと倍率は低くしてたけど。


とりあえず今回は天然酵母が出来るまでの時間を短縮するために使う。

2倍程度だから完成までに3日4日かかるけどね。

蓋は分体をラップみたいに薄く伸ばして使う。


なんだったらかき混ぜたりとかも、魔導知能に頼めばやってくれるし。

後は放置で、天然酵母ができるはず。


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読んで頂きありがとうございます。

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