第19話
生き残った盗賊の後始末は魔導知能に任せて、こっちはのんびり薪と小石集めだ。
近くに川があるから、小石集め放題だ。
と言っても、マジックバックを持っていると言っても。容量倍、重さ半減と言うマジックバッグにしては、なんとも言えない性能なので、そんなに沢山持って行くことは出来ない。
早くもっと高性能なマジックバッグを作りたいけど。
進化しなくても俺のレベルが上がるだけで、スライムゼリーの質が上がったりしないかな?
巾着袋の素材である、魔鹿の毛皮は地球基準で言えばかなり上等な素材なので、スライムゼリーの質が上がればもっといいマジックバッグになるはずなんだけど。
やっぱり、魔力に関係するものが殆ど存在しない地球より。
魔力に関係するもので溢れているこの世界は刻印術を使う人からしたら天国だ。
ランクCの魔物の素材でも、地球だったら最低でも数千万はするレベルの素材だ。
それ以上のランクの魔物の素材を土台にしたらどれだけのものが作れるか今から楽しみで仕方ない。
持ち運びに問題ない程度の小石を拾って野宿する場所に戻る。
「どこ言ってたんですか?魚捕ってきたのは良いんですけど。捌くナイフがなくて困ってたんですよ」
着ていた服以外何も持ち出せなかったし。
そりゃそうか。
と言っても俺も人や魔物を殺すのに使ったナイフしか持ってないんだよね。
体の中に取り込んで、汚れだけ取り除いてるからきれいな状態では有るんだけど。
出来れば使いたくないよね。
そう言えば、ゴブリンたちがドロップしたカードに黒曜石のナイフってのがあったな。
それを使えばいいか。
巾着袋から、カードを取り出してカード化を解除してアレーネさんに渡す。
「有難うございます」
「俺も料理するから、使い終わったら返してね」
「分かりました!」
待ってる間は、拾ってきた小石に刻印術で効果を付与して待つ。
10匹以上捕って来てたし。木の枝を串に加工するのにもナイフは使うだろうから、当分ナイフは返ってこないだろう。
今、沙希の方はどんな状況なのか魔導知能に聞いてみたいけど。
盗賊の残党退治をお願いしてるから、話しかけづらい。
分体を150以上操作してる最中だし。
余裕があればこっちの思考を読んで返事してくるだろうし。
魔導知能も操作で手一杯な感じだな。
そんな訳で、今やれる事は刻印術ぐらいしか無い。
40分ぐらいするとアレーネさんからナイフが返って来たので、料理を始めようと思ったけど。
黒曜石のナイフにも刻印術でなにか効果を付与した方がいいと思ったので、もう少しだけ刻印術のターンだ。
黒曜石のナイフは川で洗ってから返してくれたので、すぐに始められる。
この黒曜石のナイフは解体、調理用にしようと思うので、魔力を流すと汚れを綺麗にしてくれる浄化を付与しようと思う。
本当は耐久度を上げる硬質化も付与したかったけど。黒曜石の質的に効果を1つ付与するのが限界なので、断念。
魔力を流すだけで、綺麗になるってだけで充分便利なので、今はこれで満足だけどね。
浄化みたいな日常生活に有れば、便利系の刻印術は他にもあるんだけど。
今は戦闘に役立つ効果の方が優先だからね。
複数、効果を付与できるような素材は武器や防具優先だろうな。
取り敢えず。料理を始めてしまおう。
今日手に入れた、マーダーグリズリーの肉を料理するんだけど。
そのまま焼くと、肉が固くなると思うので、ナイフで頑張ってミンチにしてハンバーグにするつもりだ。
そのまま焼くよりは食べやすくなるんじゃないかな。
つなぎがないから、100%熊肉ハンバーグだけど。
フライパン替わりの石の上で、無心で熊肉をミンチにすること数10分。
力を入れすぎると黒曜石のナイフが割れちゃうかな?と思って力も加減する必要があったから、普通より時間がかかった。
後は捏ねてハンバーグの形にして焼くだけ。
つなぎがないから形が崩れないか心配だけど。なんとか上手くいった。
と言っても火加減の調節とか、蒸し焼きとかが出来ないから。
出来としてはかなり残念だけど。
道具が大幅に制限された状況でって考えれば上出来だろう。
「態々、屑肉の様な状態にしてどうするのかと思ったら、成程。これなら食べやすいですね」
アレーネさんの反応で、この世界にはハンバーグが存在しないことが確定した。
この世界の料理事情がすごく不安になった。
最悪、自炊するしかないか。と言っても。
一から出汁をとって料理をするってなるとかなり大変だぞ?
現実逃避でやった事あるから出来ないこと無いけど。
「ほんとに夜どうし見張りをお願いしていいんですか?」
「その分、移動中ちょくちょく仮眠を取らせて貰いますから。あとマーダーグリズリーの毛皮使ってください」
移動中俺はいくらでも寝れるけど。
魔物が近づいて来たら魔導知能が起こしてくれるし。
アレーネさんは御者をしなきゃいけないから、夜しか寝れないし。
しっかり睡眠を取ってもらわないと。
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