第8話
ダメージは無かったものの、突然の爆発にこちらの事を警戒した魔鹿は突進してくるのを止めて、一定の距離を保ってこちらを威嚇してくる。
早めに倒した方が良いって判断されなくて良かった。ルーン文字を書く時間を確保出来る。
今の内に色々仕掛けさせて貰うか。
魔鹿を視線から外さないように動いて地面にルーン魔法を使ったトラップを作成していく。
数分、直接攻撃をしない時間が続くと痺れを切らした魔鹿が突進してくる。
「頭は余り良くなさそうだな」
地面に仕掛けていた。ルーン魔法のトラップを発動させる。
突進してきている。魔鹿の前足がルーン魔法のトラップの上に乗った瞬間、ルーン文字が発光して地面が10cmだけ陥没する。
10cmしか陥没させられないとか、生ゴミを捨てる穴にもならない。
本当に驚かせるぐらいしか使い道がなさそうだけど。
全力疾走している時にバランスを崩させるなら10cmも陥没させれば充分だ。
欠点としては、魔力で書いたルーン文字が見え見えなので、一定以上の知能を持った敵にはバレバレでトラップとして使えないってところだな。
全力で走っているところで、無理矢理バランスを崩させられた魔鹿は、頭から地面に突っ込んだ。
普通だったら首の骨が折れて即死って言う感じのズッコケ方だったけど。
HPがダメージを肩代わりしたのだろう。
ダメージを受けたような感じは無い。
魔鹿が起き上がる前に接近して新しいルーン文字を書いてルーン魔法を発動させる。
地面から蔦が生えてきて魔鹿に巻き付き、倒れた状態で拘束する。
これで後はタコ殴りにするだけで倒せるだろう。
普通の体勢なら蔦を引きちぎって拘束を抜ける事ぐらい出来たろうけど。
倒れてる状態じゃ、力も入れられないだろうし、蔦を引きちぎることも出来ないだろう。
踏ん張れないように足を念入りに拘束したし。
最初の方は殴っても、なんと言うか霧を殴っている様なと言えば良いんだろうか?
全然、殴っている感じがしなかったけど。
黙々と殴り続けると、魔鹿が悲鳴をあげてダメージ与える事に成功する。
このまま魔鹿が光の粒子になって消えるまで殴り続けた。
「あ〜やっと終わった。コレは出来るだけ早くレベルを上げて身体能力を上げるべきだな」
今の俺はレベル1で魔力量以外は一般人だからな。
もし俺がルーン魔法をしっかり使えたなら、それでも大丈夫だったんだろうけど。
生憎、子供だまし程度の威力だからな。
魔法使いとして戦うには無理がある。
となると身体強化してとにかく物理攻撃と言う脳筋戦法で戦うしかない。
今のところはね。
今の身体能力は一般人レベル。一般人レベルの身体能力を強化しても、魔物と戦うには少し心もとない。
レベルを上げて元々の身体能力を上げないと。
脳筋戦法は取れないだろう。
(お疲れ様です。ゴブリンはGランク、魔鹿はCランク。Cランクの魔物は中級冒険者が複数人で倒せるレベルの魔物なので、マスターが戦えないという訳では無いですよ)
ゲームとかに良く出てくる魔物のランクか...
と言うか魔鹿ってそれなりにランクが高いのか。
確かに全然強さが違ったけど。
と言うか。魔導知能は俺なら勝てるとホントに思ってた訳?
ルーン魔法を使って拘束しなかったら勝てなかったよね?
魔導知能には俺は才能が無かったから魔法は使えないって言ってあった筈なんだけど。
そう言えば、俺の記憶を閲覧する許可を与えたから。
俺が子供だまし程度の魔法なら使えるってバレてたのか。
(信用して頂けるか分かりませんが。記憶を見る許可を頂いたからと言って全ての記憶を見た訳ではありません。いくらマスターのスキルとは言え、知られたくないこともあると思ったので。必要だったのは沙希様の姿の情報のみだったので、マスターが魔法が使えるのは今知りました)
成程。そう言う配慮も出来るんだね魔導知能は、今は魔導知能の言葉を信用しよう。
って事は魔導知能は俺が魔法を使わずに魔鹿に勝てると思っていた訳だけど。
どうやって倒すつもりだったの?
(マスターそっくりの分体を複数作成。私が制御して数で魔鹿をタコ殴りにする予定でした。マスターご自身がこの戦法に気づくか、ピンチになるまで私からご提案するつもりは無かったですが)
成程。ヒューマンスライムである事と、魔導知能をフル活用すれば普通に倒せた訳だ。
確かに、魔導知能に頼ればこっちも擬似的に人数を用意出来たわけか。
流石に思考停止過ぎたな。
今度からは、その戦法も使わせてもらおう。
後はドロップの確認だな。
今回は1枚じゃなく、3枚カードがドロップしてる。
内容は今晩のご飯として1番重要な肉、毛皮、鹿角を研いで作った刃渡り30cmぐらいのナイフだった。
角を素材にしたナイフか…
耐久度も心配だし、切れ味も直ぐに落ちそうだけど。
棍棒壊しちゃったし、新しい武器が手に入ったのは良かった。
まぁ、耐久度を上げる方法も無くはないし。
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読んで頂きありがとうございます。
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