第3話

魔導知能の案内にしたがって森の中を進んでるとガサガサという音が聞こえる。


(ゴブリンですね。身体強化をしていれば問題ないでしょう)


戦闘か……生き物を殺すことに戸惑いがないかと言えば、そんなことは無いけど。

地球にいる時から、俺を魔力タンクにしようと襲いかかってくる魔法使いもいたし。

生き物を殺すなんて、できないよって程、動揺しては無い。


特に武器とかないし、素手で戦うしかないか。

周りを少し探してみると、木の棒が落ちていたので、それを拾う。


身体強化をしている時に振り回したら折れちゃいそうだけど。

素手で殴るよりは、躊躇なく攻撃できるかな。


拾った木の棒を構えて待っていると、ゴブリンが3匹現れた。



「二体が素手で一体が棍棒持ちか……」


棍棒持ちのゴブリンに接近して、木の棒で腕を殴りつける。

木の棒は折れてしまったけど。

腕を殴られた痛みで棍棒を落としたので、その棍棒を拾って、ゴブリンを殴りつける。


ゴブリンは吹っ飛んで行って木に激突、光の粒子になって消えた。

ゴブリンだけじゃなくて、奪った棍棒も一緒に消えちゃったけど。


(最初に説明しておくべきでした。魔物は倒すと、さっき見たいに光の粒子になって消えます。魔物が持っている装備品も同様にです。なので今の場合、棍棒を持ったゴブリンは最後に倒すべきだった訳です)


確かにそれは最初に教えて欲しかったな。

お陰で、残り二体は素手で倒さなきゃ行けなくなった。


(それに関しては、賭けになりますが。

先程、ゴブリンが光の粒子になって消えた場所にカードが落ちてないですか?)


魔導知能に言われて、さっきゴブリンが光の粒子になって消えた場所を見てみると、免許証サイズのカードが一枚落ちている。


木の下に移動してカードを確認してみると、

ゴブリンの棍棒と書いてある。


(魔物を倒すと、カードになったアイテムがドップします。〈リリース〉と言えば、かアイテムの状態にすることが出来ます)


「リリース」


その説明を聞いて直ぐに、ゴブリンの棍棒をカードの状態から解放する。


棍棒を持ってるからって、絶対に棍棒をドロップする訳じゃないだろうし、ラッキーだったな。


武器があれば、さっきと同じように撲殺できるな。


さっくりと残りの二体も倒してしまう。


それにしても身体強化様々だな。

身体強化があったから、ゴブリンをあっさり倒せた。

正直、身体強化がなかったら苦戦どころか袋叩きにされて死んでただろう。


消費を気にしなくても問題ない魔力量とヒューマンスライムの回復能力のおかげで、反動を無視できるからってのもあるけど。


亜神クラスの魔力とヒューマンスライムと言う種族。どちらかが欠けていたら出来なかった戦法だな。


結局、魔導知能が教えてくれなければ、こうすれば戦えるってのも分からなかった訳だし。


MVPは魔導知能だな。


(有難うございます。ドロップしたカードを拾って、移動を再開しましょう。あまりのんびりしていると、日が沈む前に村にたどり着けなくなるので)


そうなると野宿か、野宿は嫌だな。


ゴブリンがドロップしたカードを拾って移動を再開する。


(猪の1頭ぐらい歩いていれば遭遇するだろうと思っていたのですが、上手く行きませんね。作戦を変えましょう。マスター。分体のスライムを生み出してください)


魔導知能さん何言ってるの?と思ったけど、なにか理由がありそうだし。

大人しくスライムを生み出すか……と言っても、どうやればいいのか全く分からないけど。


取り敢えず、左手を突き出して分体出て来い〜と念じてみた。


すると左手が半透明の水色になって、波打ったと思うと、地面にべちゃりと半透明な水色のジェルが落ちる。


これが俺の分体?

あ〜でも確かに俺が自由に動かせる気がする。

分体と言うよりか、ラジコン?みたいな感じだな?


(そうしたら、その分体の制御を私に下さい。魔導知能に分体の制御権を与えると念じていただければ大丈夫です)


取り敢えず。言われて通りにしてみる。

初対面なのにこんなに無条件で信用して大丈夫かとか思わなくもないけど。

俺のスキルだし。信用出来ないとして排除の仕方がわからない。


とりあえず、信用して仲良くやった方が良いだろう。


(もし、私が信用できない場合は魔導知能停止と念じていただければ、私は何も出来なくなります)


いや、今の俺は魔導知能がないとどこに向かえばいいのかも分からないし。

仲良くやって行ければいいなって思ってるから。


(有難うございます。街に入るにはお金がかかります。なので、先ずは村に行ってお金を作ってから街にと考えていたのですが。普通に歩いてて猪と遭遇できなかったので、私がマスターの分体を使って探します)


魔導知能に制御権を与えた分体はいつの間にかアメーバみたいな姿から燕のような小鳥に

姿を変えていた。

そして、燕の姿をした分体は森の中に飛んで行った。


姿が完璧にイメージ出来れば、飛行生物の姿に変身して実際に飛ぶことも出来るのか。


俺も姿を変えること出来るのかな?


(可能ですが、私の演算能力をいかんなく発揮して造形を真似ることで可能になることなので、マスター1人で飛べるようになるのは難しいかと)


そっかそれは残念。

まぁ、分体を使った空からの偵察ができるだけ良かったと思うべきか。


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読んで頂きありがとうございます。



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