第7話 優と夕


 どう言うことだ?何の連絡もなしに引っ越して行ったのか?それは流石にないよな?でも事実連絡はないしそんなことを聞いた事もない。


 もしかして最近休んでたのって引越しが原因だったんじゃ、、、


 龍は、、、何も言って来なかったから連絡は来てないだろうし。今日帰りに凛の家に行ってみよう。流石にひどすぎるよ。


 一応TINEを打っておこう。読みもしないと思うけど。






「ごめんくださ〜い、誰かいらっしゃいませんか〜?」


「・・・・・・・・」


「すみませ〜ん。誰もいない、、、もう引っ越して行ったのかな、、、」


「・・・・・・・・」


「そんなこと、ひどいなぁ。僕たちって仲よかったと思うんだけど。思ってたのは自分だけだったのかなぁ。ひどいよ」


 僕は項垂れながら帰った。


 まだ凛の事諦め切れてないのにな。もっと話したかったのにな。






 この日から僕は、凛がいない日々が続いた。龍も何も知らなかったらしく、何も言わなかった。だが未だに僕は凛のことが忘られず、街に出るたび気づかぬうちに目で凛の姿を探していた。


 そうした毎日を過ごしていたが、ある日の夕方、下校の最中に僕は自転車と事故をして骨折をした。そこである大きな病院へ行ったのだが、そこにはあの日凛を車で学校まで送っていた凛のお父さんがいた。


 つい驚いてしまって大声で声をかけてしまった。


「あの!り、、姫乃凛さんのお父様ですよね!」

「わ!びっくりしたなぁ」

「す、すみません」

「病院では静かにね、じゃあね」


 その人は引きつった笑みをうかべながら、そそくさとその場を離れようとする。


「待ってください。あの、姫乃凛さんのお父様ですよね。凛さんの友達の、、、三宅優です。凛さんに合わせてもらえませんか」


 しばらく会ってなく、連絡も取り合ってないので、友達と言って良いのか迷った。


「だが、、、」

「お願いします」

「、、、仕方がないか。君なら凛も許してくれるだろう。私の名前は姫乃夕。下の名前は君と同じだね」

「ありがとうございます。優さんと呼ばさせてもらっても大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ」

「その、、、許すって、何をですか?」


 急にいなくなった事だろうか。でもそれは流石に理由が納得できる事であろうから許せる。


「凛にはね、友達を私と会えないようにしてほしいと頼まれていたんだよ」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る