『またね』と言う名のおまじない

第2話 春が来た！？

「おはよ」

「おはよ、それじゃあ行こうか」

　今日は凛と一緒に映画を見に来ている。

「やっぱり日曜日は人がいっぱいだね」

「みんな休みだからなぁ」

　休日だからだろう、ショッピングモールには人がたくさんいた。

「それにしても『今週末一緒に映画に行かない？』って誘われた時はどうしたんだろうって思ったよ。何かあったの？」

「い、いや。何もないよ」

　龍が『福引で映画『桜並木の下で』のチケットが2人分当たったけど、俺は一緒に行く人がいないから姫乃誘って行ってこい』と言ってチケットをくれたのだ。『ついでに告白してこい』という命令付きで。

「映画までまだ時間あるね。どうしよっか」

「モールを回ろうよ。気になる服とかあるかもだし」

「そうだね」

　と言うことで、映画の時間まで買い物をする事になった。

　へぇ、こう見るといろんな店があるんだな。まったくモールに来てなかったから自分が知っている店の並びと違う。

「優はもし彼女がいたらどんな服を着て欲しい？」

「そうだなぁ、露出の少ない服かなぁ」

「ミニスカートとかじゃないの？雑誌とかスマホだと男子はそう言うのが好きな人が多いって書いてあったけど」

「まぁ、そういう人が多いのは事実かもね。でも僕は他の人にそう言う目で彼女を見られるのは嫌かな」

「へぇ、、、ねぇねぇ！そう言う目って？」

　こういう所が意地悪だなぁって思う。まぁ、そういう所もかわいいんだけども。

「意地悪だなぁ。わかってる癖に」

「あはは！ごめんって、それよりもこの服可愛いよね！」

「確かにそうだね」

　そんなふうにお店を回っていると、男子(彼女持ち)が困る質問ランキングで堂々と5位以内に入りそうな質問が飛んできた。

「ねぇねぇ、この服とこの服、どっちの方がいいと思う？」

　意地悪な微笑み付きで。

　正直どちらとも可愛くていいと思うのだが、そんなことを言ってしまってはいけないのはさすがにわかる。

　と言う事でどうしたらいいのかだが、昔父さんに教えてもらったことがある。

『いいか？こう聞かれたら、目線をみろ。目線の向いている方を選ぶんだ。いいか？目線の向いている方だぞ』

　ふっ、残念だったな！凛！僕はその対処法をもう知っている！さぁ、君の目はどっちを向いている！

　・・・あれ？僕の方しか見てないような、、、どうしようか、、、

　仕方ない。龍の教え通りに行くか。あまり言いたくないけど。

「今着てる服が一番かわいいよ」

「あ、逃げた。まぁ、今回は許してあげる」

「ははは、、、ありがと」　

　今回はって事はまたされるのか、、、

「そろそろいい時間じゃない？」

「そうだね、そろそろ行こうか」

「は〜！よかったね〜、とくにあの幼馴染と再会するシーンが良かった！」

「確かにあそこよかったね。僕は彼女と別れた後のセリフが好きだったなぁ」

「なるほど〜、あれも良かったね。『季節が移り変わるように、君と過ごした時間もあっという間に過ぎていった』だっけ？」

「そうそう、綺麗に最後に伏線回収してたしね」

　この映画は流行るな、、、絶対！

「そういえば凛は家どこら辺なんだ？送ってくよ」

「ほんと？ありがと。えっとね、菅原のあたりだよ」

「おっけ〜」

思ったより近くだったんだな。