多幸感。

年に一度、あるかないかのことだが、自分がどうにもこうにも幸せでたまらない日がある。躁転とも少し違って、じんわりと幸せを噛みしめる日。

例えば過去のしくじった日々を思い返してみても、それがなければカレシに出逢えなかったんだなあと、あの時こうしていれば……といった後悔のようなものが全くない。カレシと出逢ってもう何年?こんなに長く続くとは思わず、日を追うごとに愛しさが増すなんて、なんて幸せなんだ!と考え、あと何時間でカレシが帰ってくる、と胸を踊らせる。今日、二千二十二年クリスマスの日がまさにそうで、毎年であればテンションが下がっていく時期なのだが、抑えきれないほどの多幸感に包まれている。

カレシの仕事柄、クリスマスにデート、なんてものはないし、クリスマスなんて祝うものでもない、通常運転の一日に過ぎないのに、今日は朝から何だかほわほわして、カレシのことを好き過ぎてどうしようと頭がお花畑になっている。都合のいいことに、明日はカレシの仕事が休みで、今夜は何をして過ごそうかとワクワクしている。とはいえ、繁忙期この上ないカレシは、ここのところ帰ってきてお風呂に 入って軽くご飯を食べて即寝、実質三十分くらいしか顔を合わせておらず、休みの前日である今日はアルコールも入ってすぐ寝てしまうだろうけど。それでも、いつもよりはゆっくりと食事も取れるし、話も出来そうなのが嬉しい。お酒も昨日のうちにデリバリーしているし、あとアイスクリームも買ってくれば完璧だったのだけど、それは外に出る勇気があれば行くということで。ああ幸せ。

旅行が楽しみ、とかとも違う、幸せ細胞が脳の中を飛び交うこんな一日は、稀にしかないのだが、その分体力気力を使うので、反動が物凄い。明日はきっと疲れきっているのだろう。どうせならカレシが休みの日にこんな気持ちになれたらいいのだけれど、そう上手くコントロール出来るなら私は病気になんかなっていないだろう。突如芽生えるこの感情を、少し恐れながらも受け入れ、浸っているのがいい。

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統合失調症の私と、赦すカレシ。 たぬぴよ @tanupiyo

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