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とりあえずここはクリュアント王国の王都であるガルベラという場所ということがわかった。
治安も良く、結構広いらしい王国中の物資が集まってくるために良い感じに栄えている。
どうやら王国の名を冠してはいるが、その実状は帝国主義を持つゴリゴリの軍事国家のようで、属国や実質属国みたいな地域が大量に存在しているらしい。
まあ、この国の政治体制にあまり興味は無い。
次は大体の物価や金銭の価値なんかについて。
まず貨幣価値についてだけれど、
銅貨100枚=銀貨1枚
銀貨100枚=金貨1枚
金貨100枚=白金貨1枚
白金貨100枚=星貨1枚
という感じになっているらしい。
物の値段は、結構まちまちだ。
ただ塩や黒糖がそれほど高くないことから考えると、調味料の類は結構豊富にあるらしい。
聞けば塩は海水塩という話だし、黒糖はサトウキビから採っているんだろうから、統治している地域はかなり広そうだ。
とりあえず、パンが安いのは助かる。
拳大のパンが、銅貨2枚で買える。
2つも食えばお腹が溜まるからな。
あと宿の値段もピンキリだけど、安いところなら雑魚寝で銅貨5枚で、個室でも銅貨10枚もあれば泊まることができる。
とりあえず盗難が怖いから銅貨10枚の個室に泊まるべきだな。
そしてご飯は、今は栄養価を考えているだけの余裕もないから、とりあえず毎食パンを2つを一日三食で銅貨12枚。
まず俺の目標は、一日で銅貨22枚以上のお金を稼げる仕事に就くことだな。
毎日お金が減っていくというのは嫌だから、金貨1枚使い切る前くらいには仕事にありつけたらと思う。
……でもこの貨幣価値なら、金貨5枚というのは実はかなり太っ腹なんじゃないだろうか。
金貨5枚もあれば、一年以上は何もせずに生きていけるわけだし。
あ、そうそう。
この世界は一年が354日の太陰暦になっていた。
一週間は基本的には7日で、一ヶ月は29か30日。
そして大体三年に一回ペースで、閏月というやつを作ってズレを調整するらしい。
とりあえずは地球とそんなに大差ないと考えてよさそうだ。
一週間が十日みたいな感じだと混乱していただろうから、ラッキーである。
この世界の最低限の常識を手に入れていると、日暮れになった。
今日はこの世界のことを色々と知れたところで満足することにしよう。
そう思って俺は眠りにつ――こうとしたのだが。
「寝れない……」
夜になっても目がガンギマリになっていて、まったく眠気がやってこない。
この理由は間違いなく、『不眠不休』のスキルによるものだろう。
身体の調子はどうか。
不思議とほとんど疲れてはいない。
今日は数時間は歩いたはずだけど、肉体的な疲労はほとんどなかった。
どちらかと言えば精神的な疲れの方が大きいくらいだ。
これ、寝たい時にも寝れないのだろうか。
結構不便なスキルじゃないか。
俺だって、寝た……すぴー……。
寝ようと思ったら、フツーに寝れた。
どうやら『不眠不休』のスキルは、オンオフのスイッチみたいなものがあるらしい。
どれくらい寝なくてもいいかは、今後調べていく必要があるだろうな。
本当なら『努力』のスキルについても色々と知っておきたいけど……まずは職探しをしなくちゃ。
こうやって考えると、実家があって三食が約束されていた我が家は恵まれていたんだなぁと思う。
所変われば常識も変わる。
郷に入りては郷に従え。
俺も異世界の流儀に慣れていかなくちゃな。
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