第三章 そして、再会⑦
「何てことだ。まさか火炎放射の中に突っ込んでくるなんて。……マリア、彼女は助かりそうか?」
「辛うじてまだ生きてはいます。だけどこんなにも重度の火傷、わたしの能力だけでは治せません。急いで病院に搬送しないと」
「分かった。こんな山中では救急車も来れない。シャネルとマリアの二人で彼女を麓の病院まで送り届けてくれ。私はレベルⅢの残骸がないか探す」
アッカーソンから指示を受けた二人は、黒焦げになってしまった鈴蘭をシャネルが背負い、それに並走しながらマリアが治癒能力を行使する形で、街中の上空を飛びながらホログラムデータに映し出されている大学病院を目指すことになった。
「この子、助かるといいけど――って、ッッ!」
「ちょっと、マリー!?」
街中を飛行していたとき、突如としてマリアのスペースフレームの一部が火花を上げた。制御不能に陥ったマリアが地上へと落下していく。
その光景を見ながらシャネルは叫んだ。
「何が起きたの!? 故障? いや、まさか――襲撃!?」
次の瞬間、シャネルの纏ったスペースフレーム〝ルナ〟の両翼からもいきなり火花が発生し、制御不能に陥った。シャネルは背に抱えた鈴蘭を守るようにしながら旋回し、周囲の敵影を確認する。しかし、敵の姿は見つからない。
「ここは地球なのよ!? レベルⅢが例外だっただけで他にBIOSはいないはず。一体、何に襲われているの?」
「ハッ、スペースガールズの敵はBIOSだけだと? この世には、テメェらみたいな英雄が憎くて憎くてしょうがない奴らもいるんだぜ」
至近距離から声が聞こえてシャネルは素早く武器を構えながら振り返る。
しかしそこにあるのは星空だけで何者の姿も見えない。
戸惑う彼女の首筋へと力強い手刀が叩き込まれた。明らかに戦闘経験の高い手練れた一撃を受けて、彼女は意識を失い落下していく。
その背中から、襲撃者は鈴蘭の身体を抱え上げた。
「生きているのか、コイツ。――聞こえるか? 予定通りレベルⅢの関係者を回収した。だが虫の息って奴だ。緊急治療の用意をしてくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます