第八十話 素敵で素晴らしい女性達

『ペーターには本当に助けられています』


『フローリアンの言う通りね。本当に感謝をしているわ』


『え、えへへ。フローリアンとハイディにそう言ってもらえると嬉しいな♪』


私がシュノーア家の女男爵バローニン閣下の御相手をしている間に、リューベック参事会の議員の子息にして叡智ヴァイスハイト学園の首席でもある学友のペーターは、警備隊と巧みな交渉を行い、魔道具の邪眼べーザー・ブリックの指輪を悪用して詐欺犯が使用していた賃貸物件を抑えていました。


『やはり警備隊に逮捕された詐欺犯は、天から根元魔法の素質は授かったものの、教育や訓練を受けてはいませんでしたか』


溜まり場となっているペーターの部屋には、私達学友の三人の他にも同い年のコレットも居ますが。ペーターは専属侍女でもあるコレットが淹れた紅茶を一口飲んでから頷きまして。


『うん、その通りだよフローリアン。遠い御先祖に魔法使マーギアーいがいた家系みたいで、倉庫の奥で長年に渡り忘れ去られていた魔道具の邪眼べーザー・ブリックの指輪と取り扱い説明書を偶然見付けて、悪用していたと自白したよ』


私は父方の祖父が魔法使マーギアーいで、ペーターは父方の曾祖父が魔法使マーギアーいで、ハイディは母方の祖母が女魔法使マーギエリンいですが。曾祖父や曾祖母以前が魔法使マーギアーいや女魔法使マーギエリンいである場合は、根元魔法に関する知識は家庭内では失われる可能性が高まります。


『ハイディの望み通りに、自由に活動出来る拠点をペーターのお陰で得られましたが、見に行きますか?』


私の問いにハイディは数日振りに晴れやかな笑みを見せまして。


『ええ、他者から干渉されずに活動出来る拠点を得られて本当に嬉しいわ♪』


女性だけのエミリーさん三人家族に救われて、ハイディという異性の学友を得ていなければ、私は女性不信に陥っていた可能性が極めて高いと思われますから。素敵で素晴らしい女性達に心から感謝をしています。

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