第四十一話 恩師

『スラッ』


『ふむ、確かにどのような根元魔法が付与されているのか一目では解りません。解析のしがいがありそうな魔剣ですね。フローリアン君♪』


『はい。博士ドクトル


仕事を終えてリューベックに戻った私は、砦で入手した魔剣を叡智ヴァイスハイト学園の博士ドクトルの研究室に持ち込み、解析してもらう事にしました。


『金融機関から連絡がありましたよ。融資の完済おめでとう♪』


研究室の椅子に腰掛けていられる博士ドクトルに対して、私は恭しく深々と御辞儀を行いまして。


博士ドクトルが身元保証人となって下されたので金融機関から融資を受ける事が出来ました。改めて心底よりの御礼を申し上げます』


謝意を述べる教え子である私に対して、博士ドクトルは笑みを浮かべられまして。


『フローリアン君は整った容姿をしている金髪ブロンデス・ハールの美少年ですから、傭兵ゼルドナーとしての仕事が上手くいかずに返済が滞った場合は、娼館フロイデン・ハオスで男妾として働いてもらうという条件を受け入れた上で、高利での融資を受けて完済したのですから、全ては君自身の力による物ですよ♪』


『恐縮です。博士ドクトル


金融機関で融資を受ける際に私の身体を担保にしましたから、返済が滞れば博士ドクトルが仰られるように、リューベック市内の娼館フロイデン・ハオスで奴隷男妾として毎晩様々な人物の相手をしなければいけなくなる恐れがありました。


『ハイディ君の御母堂の男爵バローン夫人様あたりは、フローリアン君を娼館フロイデン・ハオスから買い取り、御自身の夜の御相手をさせる専用の奴隷とされていたかも知れませんね♪』


博士ドクトルの御言葉を否定は出来ずに、私は苦笑を浮かべるしかありませんでした。

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