第三十九話 成績上位者の三名

『貴方達が隊商などから奪った品々は、ここに全て保管してあるのですね?』


『は、はい。魔法使マーギアーい様。リューベックに以前から付き合いのある古物商がいやして、明日奴隷商人に地下牢に捕らえている奴隷達を売却した後に、街に行き買い取ってもらうつもりでいやした』


放棄された古い砦内の一室の扉を修繕して鍵を付けて、倉庫として盗賊ロイバー団は使用していましたので。


魔力マナ感知』


根元魔法が付与されている魔道具はないかと思い魔力マナ感知を行いますと、反応がありました。


『ミスリルズィルバー製の髪飾ハール・シュムックりですね。確か…、貞淑ていしゅく髪飾ハール・シュムックりだったと思います』


倉庫の中にあった大気中の魔力マナを吸収する性質を持つミスリルズィルバー製の髪飾ハール・シュムックりを手に取り確かめる私に対して、ハイディが苦笑を浮かべまして。


『流石は叡智ヴァイスハイト学園での成績順位が次席だけの事はあるわね。良く覚えていると感心するわ♪』


成績順位が三席のハイディの髪の毛を私は見詰めまして。


『ハイディの美しい銀白色ズィルバー・ヴァイスの髪の毛に似合う髪飾ハール・シュムックりだと思い覚えていました』


学友である私の言葉に、ハイディは笑みを浮かべまして。


『フローリアンの綺麗な金髪ブロンデス・ハールにも似合うと思うわよ♪。ペーターの黒髪シュヴァルツに着けても、ミスリルズィルバー製の髪飾ハール・シュムックりなら色が際立つと思うわ』


貴族諸侯の男爵バローン家の令嬢フロイラインとして生まれ育ったハイディは、幼少の頃から御母堂の男爵バローン夫人様譲りの美貌を称賛されて十四歳まで成長しましたから、こうした褒め言葉を受けた際の対応にも慣れていると感じます。


『女性向けの装飾品ですからね。中性的な容姿の私が髪の毛に着けますと、女性と間違わられる可能性が高まります。この貞淑ていしゅく髪飾ハール・シュムックりの所有権はハイディで構いませんか?。ペーター』


私の確認に対して優しい性格をしている黒髪シュヴァルツのペーターは笑顔で頷きまして。


『それで良いと思うよフローリアン。貞淑ていしゅく髪飾ハール・シュムックりに付与されている効果は、命令魔法ベフェールス・ツァオバーなどの精神に作用される根元魔法への抵抗力を高めるから、実用性もあるしね♪』


私とペーターの男性同士の会話を聞いたハイディは、少し呆れた表情を浮かべながら貞淑ていしゅく髪飾ハール・シュムックりを受け取りまして。


『首席のペーターと次席のフローリアンの話しを聞いていると、三席の私は叡智ヴァイスハイト学園で何を勉強しているのか疑問に感じるわ。一応お礼は言わさせてもらうわね♪』

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