第十二話 急いで行う必要のある身支度

『お母さん。この子も一緒に連れて行っていい?』


『ええ、ソフィーの大切なお友達ですものね』


『ありがとう。お母さん♪』


伯爵グラーフ閣下による軍団が解散されて、騎士リッター団や傭兵の方々が居なくなったのを見計らいましてから、エミリーさん三人家族が身を潜めていた地下貯蔵庫に戻り、ソフィーの大切なお友達である人形などの、エミリーさん達が当面の生活を送るのに必要な品々を荷造りしてもらっています。


『どうかしたのフローリアン。かなり神経質に周囲を警戒しているみたいだけれど?』


同い年である十四歳のコレットの指摘に私は頷きまして。


騎士リッター団も傭兵の方々も居なくなりましたから、何か価値のある物が残されていないか漁りに来る盗賊団などが、もうじき現れる可能性が高いです』


私の話しを聴いたエミリーさんは、荷造りをする手を速めまして。


『コレットも手伝って』


『はい。エミリー母さん』


…動きが速いですね。


『おっ、金髪ブロンデス・ハールのかわい子ちゃんがいるぜ♪』


『良く見ろ男だろ』


『俺は男の子でも構わないぜ。可愛いお口に咥えてもらうなら、性別は関係な』


衝撃波シュトース・ヴェレ。ブオッ。ぎゃあっ!』


見るからに荒くれ者の三名を、根元魔法の衝撃波シュトース・ヴェレで吹き飛ばして気絶させました。


『準備出来ました。フローリアンさん』


エミリーさんの言葉に私は頷きまして。


『失礼します』


ギュウッ


女性三人を抱き締めるのは心理的な抵抗感がありましたが、急ぐ必要がありますので。


『おいっ、今の音は何だ?』


『こっちだっ!』


帰還ハイム・ケーア』『シュルンッ』

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