第六話 使い捨ての消耗品
『ヒュウゥーーーッ』
『パチッパチッパチッ』
『寒くはありませんか?。ソフィー』
『大丈夫フローリアンお兄ちゃん♪。お母さんとお姉ちゃんがとても暖かいから』
焚き火の近くでエミリーさんとコレットとソフィーの三人家族は、毛布に包まり母親と姉妹で身を寄せ合ってお互いに暖めあっています。
『私のように雇われた傭兵は、基本的に野営なので、天幕内で暖まる事が出来ずに申し訳なく思います』
キョロッキョロッキョロッ。
私の説明を聞いたコレットが、夜の暗がりの中に点在する焚き火の明かりを見回しまして。
『殆どの人は野営のようね。冬のこの時期はあまり雨は降らないけれど、雪でも降ったら凍死者が出る恐れがあるように思うわ?』
不思議そうに話すコレットに対して私は苦笑を浮かべまして。
『今回の雇い主は伯爵閣下ですが、貴族諸侯の皆様方からすれば私達のような平民の傭兵は使い捨ての消耗品に過ぎませんから、多少の凍死者が出ても気にはされません』
私の話しを聞いた母親のエミリーさんに密着しながら毛布に包まれて顔だけ出している幼いソフィーが。
『フローリアンお兄ちゃんは、高利貸しの人に借りたお金を返す為に、街で魔法の勉強をしながら傭兵をしていたけれど、お給料はたくさんもらえるの?』
幼いソフィーに対して私は優しく微笑みながら頷きまして。
『雇い主が目的を達成出来たかによりますねソフィー。負け戦ですと報酬を受け取る以前に、敗走するだけで精一杯な場合もありますからね』
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