009 フッ...またつまらぬモノを斬っ[ピコン!所持しているカードの有効期限が近づいています]...はぁ!?

 本日通算二度目のダンジョン探索。


 教訓を活かして人気ひとけの無い森の端っこ側の草原でウサピョン狩りを行なっている。


「セイッ!」


――ザシュ!


「意外に穴場だな、


 ウサピョンとの戦闘が上手くなってきたと思う。だが、渾身のギャグ独り言を誰にも聞いてもらえないのは残念だぜ。

 孤高の探索者(哀しきバツイチ男)の俺は、今の戦闘でtotal 30匹のウサピョンを斬り捨て、必要なカード数の3/5を手に入れていたのだ。


「ヨシッ!この分なら今日、明日には脚力強化スキルがトレードが可能っぽいな」


 時刻は昼過ぎの午後2時。

 取り調べイレギュラーがあった割には順調な成果だ。

 1番の要因は、基本的にスルー推奨のF級ダンジョンチュートリアルで、わざわざフロアの端っこまで行く探索者が俺以外にはおらず、そんなに活動範囲の広くないウサピョンが入れ食い状態だったから。

 危惧していた他の探索者通報者もいないから積極的に狩ってこれた。


「よーし!後20、張り切ってこー!」


 ゴールが見えてくると人間前向きになれるもので、元気が戻ってくるぜ!

 再び狩りを再開し、新たにウサピョンとエンカウント、戦闘に入る。


――Gyaruru!


――ヒラリッ、ズシャ!


「フッ。またつまらぬモノを斬っ[ピコン!]...はぁ!?」

 

 突然の脳内に響いた声アナウンスに素っ頓狂な声が出てしまう!何コレ?


「え、どういう事?何だよ有効期限って?」


 盛大に独り言を叫び、慌ててカードを取り出して鑑定すると...、


【ウサピョンカード】・・・見た目のとても愛らしい兎が描かれたカード。特に効果無し。トレード可。


「あれ?何も変わらないじゃん」


 変化の無い鑑定結果を見て不思議に思いながら、カードを確認しながら裏面を見た。


――【有効期限:1日】


「うぉー-い!!?昨日はそんな事書いて無かったろがー!」


 まさかのタイムリミット宣告だよ!?


「なんで?鑑定したの...に..!?あっ!もしかして!?」


 天啓を受けたかの様にある事に気付いき行動に移る。


「【】を鑑定!!」


【鑑定眼:Lv1】・・・様々な物、状態、価値等を鑑定する事が出来る。

Lv:1・・・物の名称、簡易な説明くらいしか分からない。だってLv:1だし。早目に成長させましょう♪


「先に言えよーーーーーっ!!!何度も言うけどダンジョン関係はなんで説明が不親切なんだよ!なんだよ『だってLv:1だし』って!鑑定結果に♪マークついてるし!誰目線だよ!?」


[ピコン!ヒ・ミ・ツ♡です]


「うにゃーーーーーー!!!!今、自分でバラしたろがー!突然、頭の中に話しかけてくる〈アナウンスさん〉略して〈〉!」


[ピコン!...]


「あ、スイマセンでした!え〜っと〈〉?」


[ピコン!...まぁ良いでしょう。許可します]


 アナさんって人間味あり過ぎじゃね?にこんなフレンドリーなのか?


[(基本、アナウンス何て在りませんよ...)]




 この時は、まだ知らなかった。


 この時から俺の頭の中に響いていたこのアナウンス

 実は、そんなシステムはダンジョンには無いということ。

 初めてダンジョンに潜ってから、この時までダンジョンの話を唯一話したのは、まさかの取り調べのみ、という孤高の探索者(バツイチぼっち男)の俺は、〈アナウンス〉があるのが当たり前だと思い込んでいた。


「とりま、直近の問題はカードの有効期限だな。因みにアナさん、詳しい時間とか聞くのアリ?」


[ピコン。無し...なのですが、今回はサービスで教えましょう。後、4時間31分27秒、26秒、25秒...]


「1日切ってんじゃん!?ていうか、4時間ちょい?ヤベーよ!それとアナさん、カウントダウン止めて!?めっちゃ焦るから!」


[ピコン!急ぐ事を推奨します。有効期限を過ぎるとカードは全てし、初めからやり直しとなります。因みに、1つの種類のカードの1枚目を入手した時点から有効期限が発生します。2枚目、10枚目と集まろうが最初の1枚目が基準となりますのでご注意下さい。

 鑑定眼スキルのLvが上がれば詳細の確認が可能となります....サービスし過ぎました。以上です。良き探索を]


「うぉ!?めっちゃ長文あざっす!残業以外のサービスは大好きです!アナさんありがとーー!」


 ※脳内に響く声アナさんと会話しています。第三者が見ればかなり大きな独り言を、会話形式で叫ぶオッサンです。


「スライムとワーカーアントは諦めるしか無いな。ウサピョンだけは絶対クリアしてやるからな〜!ウサピョン出てこいやっ!」


 こうして、カードの秘密を知り...アナさんに教えて貰っただけだけどね。スキル獲得へのラストスパートをかけることにした。




 本来、最大の発見は〈アナウンス〉と言う謎システムが、俺だけに適用されていること。

 そして、その謎システムと会話が出来てしまっていることなのだが、この時は全く気付いてすらなかった。


 そう、に。




「あれ!?ウサピョン?どこ?お願い出てきて!時間がないのーーーー!!」




折谷総司 ♂ age:30

Lv:6new!

rank:F

job:トレーダー:Lv2

skill:トレード:Lv2、鑑定眼:Lv1

title:×1、(変質者)、(アナさんのお気に入り)new!

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