1/27 とかく創作の世は住みにくい


 なんやかんや、かんやなんや、流行には乗れない、無難なのは嫌だ、エロで釣りたくないと、言いまくっていますが、「じゃあ、お前はどんな話を書くつもりなんだ」という話をしたいと思います。

 そんな大それたことではありません。ズバリ言い切りますと、「思い付いた話を書く」だけです。


 日々暮らしてきて、色んな出来事や創作に触れたり、自主企画を眺めたりしていると、びびっと何かが閃くものがあります。そんな風に思い付いた物語を書いています。

 川上未映子さんは、自身のエッセイで、物語というものは人を選んで降りてくるものだと語っていました。例えば、ある物語は、太宰治に合っているからと、彼に閃いているのだと。私は、この考えに共感しています。


 物語というものは、人類の歴史、そこまで大きくしなくても、私という人生の蓄積から、そして遠い未来までを見通した展望を臨んだ時に、自分の無意識のところから芽生えてくるのだと思っています。だから、自分ってこう考えていたんだ! という思わぬ癖とか思想とかが、物語の中に現れてくるのだと感じています。

 その為、私は物語を非常に神聖化しています。小説を書くという行為は、私にとって物語ファーストにするというのが理想です。


 この物語ファーストの良い点は、自己顕示欲のために書くということをしていないので、滅多なことで折れないというのがあります。もちろん、PVや星などで一喜一憂しているのですが、そこまで拘っていません。そもそも、カクヨムが収益化する前から書き続けているので、まあ、露伴の言葉を借りると、「金やちやほやされるために書いている」訳ではないのです。

 もちろん、悪い点もあります。それは、アップ瞬間に執着心が無くなってしまう所です。去年のカクヨムコン以降にアップした短編を手直ししているのですが、内容は殆ど推敲せず、誤字脱字だけを直しています。もっとよくするためには、大胆な推敲が必要だと分かっているのですが……。


 そして、読者のことをちょっとおざなりにしてしまっているのが悪い点です。自分の中で物語が出来上がっているので、言葉足らずな所が多々あるかもしれないなぁと分かっています。だから、評価がなかなか上がらないのでしょうね……。

 物語のために書き続けるというのは、一長一短です。モチベーションは無くならない限りに、独りよがりになってしまうという、難しい板挟み状態です。夏目漱石の『草枕』の冒頭みたいにがんじがらめにならないように、バランスを見極めて続けていきたいです。




 ではでは、今回の宣伝です。


 「悪への手向け」

 →https://kakuyomu.jp/works/16816927861828280493


 十年目のスーツアクター・明日葉は、この日の撮影を最後に、引退する予定だった。戦闘員のスーツに着替えていると、隣のロッカーの後輩・夏木に話しかけられる。

 KACの「私だけのヒーロー」がテーマの作品です。この話は、とても難産でした。悪役ばかりしていたスーツアクターの父に向けて、娘が結婚式で読んだ手紙という話も考えたのですが、上手くいかずに没。内容を変更し、平日に夜更かしをして、四時五時ぐらいに書き上げた覚えがあります。


 「悪への手向け」自体は、前に考えていた話です。最初は、40代になって、体力の限界を感じたから、引退することになったスーツアクターの話にしようと思ったのですが、調べてみると、スーツアクターって50代60代まで普通にやっているみたいなので、夢を諦めるという話になりました。

 当初考えていた時よりも、暗くてほろ苦い話になりましたね。でも、最後の締め方は結構気に入っています。




 それでは、今回はここまでです。

 また次回に、お会いしましょう。






































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