1/13 テレビという枠組みで出来ること


 本日は1/14ですが、昨日分の更新です。


 無料配信が終わる寸前に、『世界で一番怖い答え』を見ました。こちらは、年末に放送された、くりぃむしちゅーの有田さんが視界の一風変わったクイズ番組です。

 こちらの番組は、ざっくり言いますと、意味が分かると怖い話の映像バージョンみたいなものです。例えば、束縛の厳しかった元カノから年賀状が届く。結婚して赤ちゃんも生まれて、もう吹っ切れたようだと思っていたら、彼はゾッとした、どうして? というクイズで、答えは、彼女の子供が自分と同じ名前だったから、というような問題です。


 一番好きなクイズは、ホテルのロビーに置かれた監視カメラの映像のものです。三人親子の息子がいなくなってしまい、一体どこに? という答えが、映像に載っていました。

 一人のサラリーマンが、巨大なキャリーケースを押していたのですが、そのケースの中がコロナ対策用のサーモグラフィーカメラの映像だと、温度が高くなっていました。実は、このケースの中に子供が入っていて……というのが真相です。気付いた時はゾッとしました。


 こんな風に、「意味が分かると怖い話×映像×クイズ番組」という掛け算が成り立ち、そして面白いのは、テレビという長い歴史があり、我々がそのルールを把握しているからだと思います。

 そう言うテレビのあるあるを崩していき、恐怖や笑いを提供する番組が、増えてきているようです。『ここにタイトルを入力』や『このテープもってないですか?』や『Aマッソのがんばれ奥さまッソ!』や『島崎和歌子の悩みにカンパイ』など、無料配信や公式YouTubeで見れるので、ちゃんと見てみたいですね。

 

 普通の番組だと思ってみていたら、そんな風に意外性や恐怖に陥れる番組、私もいつか遭遇してみたいです。大体、ネットで話題になっているのを後から知るタイプなので。まあ、テレビを見る時は録画か配信派ですけど。

 リアルタイムで、一緒に見て、驚きと恐怖を共有できるって言うのは、テレビ番組の強みだと思います。映画だと、あらすじとかで先に知ってしまいそうですし、連載漫画の一話目が近いかもしれませんが、複数名リアルタイムは難しいですし。一番近いのは、YouTubeの生配信やプレミアム公開とかでしょうか。


 もしかしたら、この系統の番組の元祖なのかもしれないのが、一つ思い付きます。それは、十年以上前に放送されていた、『くりぃむナントカ』という番組の芸能界ビンカン選手権です。

 「芸能界に生き残るためには、物事に敏感にならないといけない」というコンセプトの下、有田さんと女子アナの大木さん以外は解答者として、アトラクションを回り、その中に潜む違和感を当てるというクイズです。答えは、MC二人がアフロのカツラを付けている、というような簡単なものから、カメラマンの中に当時現役のタイガーマスクが素顔の状態でいるというような、普通は気付かないような難しいものもあります。


 私の中で、伝説になっているビンカン選手権があります。それは、温泉街が舞台の回でした。

 出演者たちが最後に来たのは、旅館の宴会場。番組恒例のゆうたろうさんの偽ヨン様の相撲対決で盛り上がった後、クイズの解答時間が来ました。色々正解が出るが、一番難しい最高ポイントの答えが出ていなかった状態です。


 誰も正解をできなかったので、有田さんが答えを発表しました。それは、「実は国生さゆりがいた」――出演者も視聴者も、同時に頭の中で「?」を浮かべました。しかし、その疑問の理由は、それぞれ違っていました。

 出演者は、国生さゆりさんと一緒にあちこちを巡って、クイズに答えていたので、「何でそれが答え?」と思ったのですが、番組を見ている方は、カメラの外にいたり、発言がカットされていたりして、国生さんの姿をはっきりと目にしていないので、「え? いたの?」と思ったからです。


 よくよく映像を見ると、テーブルの端に国生さん用のお食事だけが映っていたり、よくよく聞くとガヤの中に国生さんの声が混じっていたりと、ヒントは各所に出ていました。この回は、DVDでも収録されているくらいの名作です。

 テレビ番組で叙述トリックをしかけるという、恐らく前代未聞の構成でした。「叙述トリックはどこまで出来るのか?」という話題になったら、この話をしたいと思うくらいに、印象に残っています。


 テレビを見る人が少なくなっているとか、コンプラの締め付けが厳しいとか、テレビ業界は苦境に立たされているとは思いますが、それでも、限られたものやこれまで培ってきた枠組みを逆手に取ることで、意外で面白い番組を作ることが出来るのだと、今回紹介した番組は証明しています。

 小説も、出来ることと出来ないこと、決められたルールを見直してみたら、それを裏切る凄い作品が生まれるかもしれません。きっと、これがミステリーやホラーのアイディアに繋がると思います。




 はい。今回の進捗です。


 『白は赤に』を書き上げました。長かったのですが、無事に終わらせられて、ほっとしています。

 最終話のアップは、月曜日に予定しています。お目通しいただければ幸いです。




 では、今回はここまでです。

 また次回に会いましょう。



























 

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