1/2 1月の同題異話のスタート


 本当は、1日から始まっているのですか、昨日の更新でうっかりお知らせを忘れていましたので、改めてご紹介します。


 香鳴裕人様による自主企画「同題異話 1月号 『小さな勇気とラッキースター』」が始まっています! 詳しい説明と募集はこちらから

 →https://kakuyomu.jp/user_events/16817330651363016619

 今回も、想像が広がりそうな素晴らしいタイトルですね。「小さな勇気」とはどういうものなのか、「ラッキースター」とは何を表しているのか、書き手によっていろいろな解釈が分かれそうで、わくわくします。


 今年度の同題異話は、複数の主催者による開催になっております。原則としては1人1か月担当、ただ、主催希望者が12人集まらなかったので、2人の方に、複数月を担当していただいております。

 これまで開催された同題異話のタイトルを、ちょっと並べてみましょう。


2022年  4月――香鳴裕人様   「さよならを忘れて」

     5月――おくとりょう様 「叫んで五月雨、金の雨。」

     6月――香鳴様     「恋よりも恋に近しい」

     7月――kinomi様    「逆光の樹影、ガラスのリノウ」

     8月――香鳴様    「これを優しさと呼ばないのなら過ちでもいい」

     9月――おくと様    「黒き鏡の玉兎。」

     10月――おくと様    「白の境に舞う金烏。」

     11月――善吉_B様    「釣瓶落としの後始末」

     12月――おくと様「もしかして、師走ですか?私です。初めまして、あなたは。」

2023年  1月――香鳴様      「小さな勇気とラッキースター」


 ……現在は、以上ですね。非常に個性的な、10個のタイトルです。

 季節感をどう扱うのか、自分の色をどう出すのか、和語か漢語か外来語か、話し言葉か書き言葉か、助詞はどう使うのか、句読点を入れるかどうかなど、主催者さんの試行錯誤が透けて見えるようです。そして、慣性系はどれも素晴らしく、惚れ惚れとしてしまいます。


 「タイトルだけを提供する」というのが、とても難しいということを、2回同題異話をやったことのある私は、骨身に染みて分かっています。ただの言葉の羅列からでも、結構イメージが縛られてしまうからです。

 丁度良い自由度と束縛。ただのタイトル一つだけなのに、見た人が色んな物語を想像できるようにする。言葉と向き合ってきたからこそ、そのバランス感覚が、生み出されたタイトルに現れていて、改めて、主催者の皆様に感謝したいです。


 そんな私は、タイトル統一自主企画なんて、とち狂ったものを始めてしまうほどなので、タイトルが大好き人間です。

 素晴らしいタイトルは、肴に出来ます。逆を言えば、タイトルが素敵すぎるので、そこで満足してしまい、本編をまだ読めていない小説も、いくつかあるくらいです。


 一番好きなタイトルは、ころころ変わりまして、今現在は、米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』ですね。「儚い」も「羊」も「祝宴」も、悪い意味ではない言葉何に、どこか不穏な臭いがします。この字面だけで涎が出ます。

 ちょっと前の一番は、デイヴィッドスンの『あるいは牡蠣でいっぱいの海』だったり、辻村深月さんの『冷たい校舎の時は止まる』だったり、『ピーナッツ』のミュージカルの『君はいい人、チャーリー・ブラウン』だったりします。長めのタイトルが好きなんですかね。




 今回の宣伝は、そんなタイトル大好き人間が、趣味に突っ走った状態で書いた短編です。


 「小説的な、余りに小説的な」

 →https://kakuyomu.jp/works/16817330651424428578


 若い男女が、同じ本を取ろうとして、指先が触れてしまう。そんなベタなシチュエーションを、本のタイトルを名いっぱい織り交ぜながら書いたお話です。本編と、答え合わせ編があります。

 短編集の『日常キリトリ線』からの抜粋です。一度、本編を呼んで、どこにタイトルがあるのかを探してから、答え合わせ編をお読みすることをお勧めします。


 これは、「真相は、藪の中であった」という一文が思いつき、そう言えば、藪の中って芥川の小説がきっかけで生まれた慣用句だったなあと考えて、タイトルの組み合わせだけで、小説を掛けるんじゃないかとひらめいたのがきっかけです。そこで、ストーリーは殆どないようなくらいにシンプルにしています。

 書くのはとても楽しかったです。思い付いた文を、同小説タイトルに変換するのかをひたすら当て嵌めていけばいいのですから。小説自体のタイトルが、芥川の評論『文芸的な、余りに文芸的な』のパロディにするのも、すぐに決まりました。


 ただ、これを書いたのが、2017年だったんですね……。その間にも、たくさんの素晴らしい小説タイトルが生まれています。今回、単品アップするにあたり、新たにそれらを盛り込んでいきました。

 一番役立ったのは、芥川賞・直木賞一覧のサイトです。これも、あれもと盛り込んでいくと、果てがありません。とはいえ、今回も日付が変わるギリギリになってしまいましたね……。




 はい。反省もこの辺りにして、今回はここまで。また次回に。









































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