12/29 柞刈湯葉『横浜駅SF』読了


 仕事を収めて、日付が変わるギリギリで新作を投稿し、気が抜けたところで、夜4時までダラダラネットを見ていました。

 なので、日付が二回変わったところでの12月29日分の投稿です。


 さて、この日は、柞刈湯葉さんの『横浜駅SF』を読み終えました。こちらは、2016年に第1回のカクヨムコンのSF部門を受賞した一作です。

 舞台は、突然自己増殖を始めた「横浜駅」が、本州を全て覆ってしまってから数百年経った日本です。駅の中で、人々はスイカネットと脳内のスイカによって支配されています。そんな日本で、駅の外で生まれ育った青年・ヒロトは、駅に反逆したある男から使命を受け、18きっぷを用いて、初めてエキナカに乗り込みます。


 アポカリプスの管理世界が舞台設定なのですが、独裁者がいないというのが一番の特徴だと思います。確かに、横浜駅に支配されてはいるのですが、その横浜駅も自身のアルゴリズムに従っているだけなので、人間を操りたいという欲は全くありません。

 一方、人間側も、「横浜駅に抵抗して自由になりたい!」という思いを持つ人たちは入るのですが、それに対してすごく暑くなっていると印象がないのです。ヒロトも、駅の中の旅する理由はすごく曖昧で、受け身な感じです。


 そんな中で、物語が動いていくのは、複数の人の行動によるものなんですね。別の思考を持っている人たちのぶつかりが、物語を一つの結末へと流し込んでいきます。非常にハラハラしながら読み進めていきました。

 また、私たちにとっては異常な駅に支配された生活を、作品舞台の人たちは当たり前として受け入れているという感覚が目新しかったです。そして、悪いジョークみたいな発想の作品なのですが、ギャグっぽさが殆ど無くて、非常に殺伐とした現実が繰り広げられています。ラファティみたいな話だと思って読み始めたので、びっくりしました。


 そして、完結した後も、謎が多く残っているのが気になりました。あの人の正体は? あの言葉の意味は? などなどです。あくまで、駅の外の出身であるヒロトが主人公で、詳しく謎を解き明かすことが出来ないというのがベースなんでしょう。

 この辺りは、二冠に当たる「全国版」を読めば判明するかもしれません。いつの日か、目を通したいですね。




 はい、ここで、今回の宣伝です。


 「幻のトマトを求めて」

 →https://kakuyomu.jp/works/16817330651272119457


 友人の差唐の呼び出しに応じた男子高校生の次上。妙なテンションの彼に誘われて、ある街へと向かうことに……。

 『日常キリトリ線』よりの抜粋です。ハイテンションボケな差唐と、巻き込まれ型ツッコミの次上による、コントをイメージしている短編です。


 私は、とてもトマトが好きです。冗談も誇張も抜きで、最後の晩餐はそのまんまのトマトがいいと思っているくらいです。

 物心ついた時から、トマトが好きだったので、トマトに関する知識は自然と集めていました。トマトの模様をしたハンカチや、トマトのガチャガチャも持っています。


 そして、トマト関係のフィクション作品って結構多いなぁと思ったのが、この作品を書き始めたきっかけです。差唐みたいなトマト嫌いの気持ちは全く分からないのですが、それでも好きになりたいと、色んな雑学を集める彼のことを応援したいですね。

 ちなみに、今回登場した二人は、別の話にも出ています。その話も、カクヨムコンにエントリーさせるかもしれません。また、ボケとツッコミがはっきりしているコンビは、色々と話を書きやすいので、別のエピソードを考えたいです。




 それでは、今回はここまでですね。お疲れさまでした。































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