第19話
降ってきた塊は、異様な見た目だった。何人もの腕や手や頭、胴体、足が絡まって、それだけでなく、手から足が、頭から頭が、口から足が、胴体の断面から無数の手足が、まるでつぎはぎされたように生えていた。生理的嫌悪で、胃液が込み上げて来て、慌てて、胃に押し戻さなければならなかった。
「突っ立ってないで、そっち抱えて。早く逃げないとっ」
「このままじゃ、ジリ貧だ、
「無理だ。今の僕たちじゃ、逃げることしかいい手立てはないね。でも、さすがにもうそ――」
「ダメだよ。これで終わりっ」
振り返ると、いつの間にか、手から腕が何度も生えるようにして、俺のすぐ後ろまで塊から手が伸びてきていて、手首に生えた新島の頭がニヤっと笑う。
反応する間もなく首をつかまれて、後ろに引き寄せられる。
「
踵を返して、叫びながら
「よく頑張ったな少年。お姉さんが来たからにはもう大丈夫だ」
唐突に首を絞められる感覚が消え、誰かに抱えられているのを感じる。ごほごほっと、むせて、息を何度か吸うとようやく視界が元に戻って、大人の女性がこちらを覗き込んでいるのが見えた。
「はあはあ、良かった、
「悪かった。でも、今回はかなり特殊なケースだからな。それより、この子、任せるよ」
肩で息をする
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