第8話

 途中で深玖しんくと洋子と別れ、新島と駅へと続く道を歩く。

「あの2人ってさ、小学校からの付き合いなんでしょ?」

 道に転がっていた石を蹴りながら、新島が言う。

「俺が中学入ったころにはもう顔見知りみたいだったから、たぶんそうなんじゃない」

 二人と出会ったのは、中学1年の頃、新島と出会ったのは高1の頃だった。思い返せば、2人とはずいぶんと長い付き合いになる。

「なるほどねー。逆に付き合いが長くて、お互い言い出しにくい感じなのかなー」

 小さい橋にさしかかる。新島はまだ石を蹴っていた。

 なんとなく言いたいことは分かったけど、2人の行く末は、2人に任せようというのが俺の考えなので、あえて何も答えなかった。

 橋を渡り終えるまで、新島は黙って下を向いて、石を蹴りつなげなげていたけど、あと少しのところで川に落ちて、あーあと言ってから、俺の顔を見た。

「明日なんだけどさ、4人で回るって言ってたじゃん。午前はそれでいいけど、午後は2人で回らない……?お化け屋敷とかさ……」

 少し上目遣いの新島に思わず目をそらしてしまった。

 これは、どっちなんだろうなと思う。深玖と洋子の2人をくっつけたいのか、それともなのか。新島とは、だいたい1年半ぐらい4人でつるんできて、正直言って少なからず好感はある。たまに、うざい煽りをしてくることはあるが、それも愛嬌だ。

 でも、それ以上の関係になりたいかと言われると、即答は出来ないし、そもそも俺の勘違いなのかもしれない。

「まあ、2人に聞いてみてだな」

 駅に着いたのを良いことに、それだけ言って、改札を通ってホームまで早歩きで歩く。しばらくして向かいのホームに立つ、新島の姿が見えた。

 俺の方を向いて、少し頬を膨らませながら、右手の親指を下に向けて、地獄に落ちろと新島が念を送ってくる。ついでに、口パクで、5文字くらいの言葉を伝えようとしてくる。

 先に電車が来たのは俺の方だった。乗り込んでから新島を見ると、さっきとまでと違って、笑顔でこちらに手を振っていて、俺も笑って、窓越しに手を振り返す。

 小さくなっていく新島の姿を見つめながら、少し胸が締め付けられた。

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