えっち
スズキサイハ
エッチじゃなくてえっち
可愛い、と女子高生が言う。あーまあ、正直女子高生じゃなくたっていいや。んで、そこに秘められてるかあいいって言葉には、どれだけのかあいいが含まれてんのかってこと。例えば、例えばウサギのぬいぐるみをみて、耳が可愛いのかふわふわが可愛いのか、少し汚れててかわいそーなんがかあいいのかみたいな。
なにが言いたいのかって、そういうなんか説明つかんけど、グッときちゃったものに対してのあたしの言葉が「えっち」だってことなの。そこに、あんたたちの考えるせーてきなことはなんもないの。いや、ちょっとはあるけど。
通りがかりの、寒い真冬、キラキラのイルミネーションを反射する艶やかな太ももみてまあ確かに「えっちだ」と思う。でも、そこには「エッチだ」ほどの性的な要素は含んでないし、なんならちょっと「かわいい」寄りで使ってる節がある。かわいい女の子の一部分である太ももは「エッチ」というより「えっち」なのだ。
でもでもあたしの友だちの一人は、よくあたしに「えっちいって言わないの」って言う。いや待て、いつ俺が「い」まで丁寧に発音した。「えっちい」ってそれこそ「エッチ」だろうがってキレたくなる。なんかマシュマロのような柔いエロさが入り込んでくるやろがい。ちがうんだよなー、「えっちい」まできたらダメでしょ。あたしの言いたい「えっち」とは似ても似つかないよ、ほんと。
そんな彼女に誕プレでイヤリングをもらったとき、ピアスはいつ開けんのかって言われたんよね。ピアスを開ける、に「えっち」は感じなかった。でも、直後の「ピアスの穴を開けさせて」には「えっち」さを感じた。~させるとかっていう受動態になったとき、急に言葉に「えっち」が入り込んでくるの何? なんでだろう。現象は一緒だけど、たぶん。「私が開けてあげようか?」には何か清純派「えっち」を感じて、もはや「えっち」の面影すらない。「
えっち スズキサイハ @saiha888
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