第67話

 料理のマニュアルを作成。

 映像をダウンロードしておく。

 印刷してっと。

 で、カートマンに渡して相談。


「こういう手順の説明書を作ろうと思うのだが」


「兄ちゃんなあ……スラムの連中が文字を読めると思うなよ」


「カートマン読めるじゃん」


「俺たちは研修で習ったの! それに俺の死んだ父親は兵士だ。スタンリーも他の連中もな! 最初からある程度は読めるんだよ! 兄ちゃんなあ、本当の平民を公爵閣下の子分にすると思うか?」


「じゃあ女の子は?」


「あっちはガチの平民。商家の娘なら習ってるかもしれないけどな。あんま期待すんな」


 なるほどね。

 まさか働かせるとは思ってなかったわけか。

 ま、そういうのには映像で教えればいいな。

 と方針が決まったところでドローンの状態を見る。

 うーん、半分はできたかなあ。

 住宅も第一陣の分はできたようだし。

 そろそろ入居を開始しよう。

 さてさて問題は地下鉄の整備だ。

 現地政府の上空や地下の所有権は定められてない。

 なので共和国基準で上空は300m、地下は40mに設定。

 もっと深い場所にシールドマシンでトンネルを掘る。

 空港と駅を繋ぎ、アルフォート家の領地とバルガス家の領地まで繋いでおく、おまけで王都の地下にもトンネルを延ばしておく。

 列車はリニアでいいか。枯れた技術で安いし。

 設計図あるからプリンタで作れるし。

 むしろ機関車とか電車高いもんなー。

 プリンター用の設計図ないからパーツを削り出して組み立てないといけないし。

 そっちの機材は詳しくないんだよね。特に旋盤周り。

 ネジから手作りとか狂気の沙汰だ。

 出宇宙期ってどうやって電車作ってたんだ?

 人型労働生物やキメラが巣にしないように通風口や管理口は電磁シールドを張っておく。

 警備ロボットや管理ドローンの作業用スペースも確保っと。

 あとは運用実績積み上げたら王都に駅を作ろう。

 将来的にはアルフォート領やバルガス領、それにモール駅から王都にリニア通勤できるようにしたい。

 リニアだったら30分かからんしな。

 貨物列車も運行しようっと。

 鬼マークの酒売れるんだよねー。

 あと5リットルのウイスキー。

 設定いじって瓶にしたやつ。

 頼まれた分しか作ってないのに次から次へと注文が入るんだよね。

 レビュー見たら『クソまずい』って書いてあるのに。

 で、それとモールの地下に現地工場も作っておく。

 各種プリンターに組み立て工場にっと。

 酒も造れる。

 あとは王都までリニアが開通すれば面倒な仕事から解放される。

 やだやだやだやだー! 仕事したくなーい!!!


 で、地下のリニアができたころ。

 女の子たちを大移動する。

 三分の一くらいが子どもを抱えてる。

 今度はバス。道も整備した。地面固めただけだけど。

 人数多いので自動運転。

 俺はその一台にいつメンと乗車する。

 俺たちからしたら、バスはもうなれたものだ。

 だけど女の子たちは違う。


「鉄の馬車が動いてる!」


「御者がいない!」


 なんて大騒ぎだ。

 まあでもパニックになってるってわけじゃない。

 興味津々といった感じだ。

 幼児のように外の風景を見て目を輝かせるもの。

 子どもに風景を見せるもの。

 配ったお菓子をひたすら食べるものなど。

 旅を満喫している。

 サクサク進むとうちの領地が見えてくる。

 作った調整池の近くに一軒家が建ち並ぶ。

 駅の近くに行くと高層マンションが建ち並ぶ。

 それを見て女の子たちは度肝を抜かれる。


「なんていう高い建物……」


「すごい……」


「公爵様。ここはなんの建物ですか?」


 女の子たちはあっけに取られてる。


「うん、そこの大きいのが当面、君らの家かな」


「一つの部屋に雑魚寝ですか?」


「違うよ。一家族一部屋だよ」


「あの……オラ……じゃなくて私たちはどこかに売られるのですか?」


「あははは! ないない。っていうか売り飛ばすってのあるの?」


「いや聞いたことないんですけど……そうとしか……」


「ま、俺たちは目的があるんだ。その計画の一つだと思ってよ」


「計画?」


「うん、エルダーの世界を再構築すること」


「では公爵様はエルダーの世界に帰ってしまわれるんですか?」


「あははは! ないない。俺が生きてるうちは無理だよ。数代先の話かな」


「そりゃー、気の長いことで」


「そそ、長期計画」


 というわけで家を割り当てる。

 一軒家でもいいけど慣れてからだな。

 水道とキッチン、それとトイレを見せたら固まってた。

 でもこれを下回ると共和国法違反になるのよ。

 野外でテント生活でもあるまいし。

 あと作るのが面倒になっていく。

 これならプリンターで出力してドローンに組み立ててもらえばいいのだ。

 くみ取り式便所とかどこにも設計図ないもんね。

 というわけで使い方を教える。

 ついでにわからなければいつでも聞いてと言っておく。

 詳しい仕組みを聞かれたが「精霊にやってもらってる」と言い張っておいた。

 あと分解したら修理に一週間かかると行っておく。

 ああ、あと風呂の使い方教えとかないと!

 これがシャンプーでこれがリンスで!!!

 え? おぼえること多すぎてわからん?

 慣れて!!!


「しばらくは施設の使い方の学習ね。適当に生活してて」


 と言って自分の家に行く。

 これはこだわった!

 あこがれの平屋! 木工その他の作業スペースあり! 庭いじり放題!!!

 するとセレナが余計な事を言いやがる。


「田舎ヤクザの別宅みたい」


「その表現やめて! マジで!!!」


「お兄ちゃん! その悪趣味な信楽焼のたぬきを捨てろ!」


 中途半端にリアルで斜め下からメンチ切ってるやつだ。


「かわいいだろ?」


「かわいくねえよ! 捨ててこい!!!」


「やだ!!! たぬき置くのが夢だったんだもん!!!」


「悪夢じゃん!!! あと竹の垣根!!! こんなんプリンタにデータあったのかよ!? お兄ちゃん! なんでこんな余計なとこに全力になるの!?」


「いやさ、そこに池作って鯉を飼いたいなと」


「漫画に出てくるヤクザか!!!」


「でも好きだろこういうの?」


「それ惑星日本の連中の感性だよね?」


「広そうでいいのでは?」


 シャルロット。ナイスフォロー!


「シャルロットちゃんがそう言うのならいいけどさ……」


「部屋数は多いから部屋は好きなところ使っていいよ」


 なにせ名探偵がいたら確実に殺人が起こりそうな屋敷にしたからな!!!


「あ、うん、わかった。マコト殿」


 なんだかシャルロットはソワソワしていた。


「探検してもいいぞ」


 すると満面の笑みになった。

 気になってたのか……。

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