第66話
ドローンの建設を待ってる間、今まで出てなかった講義に出る。
講義は男子は主に軍関係。
女子組は政治や法律の授業に出てる。
兵法の時間。なんだ孫子じゃん。
電子書籍の解説書が残ったのか。
面倒なので脳に直接インストール……。
「お兄ちゃん、健康を害するからその命令拒否ね」
とメッセージが送られてきた。
鬼がいる!!!
しかたないので勉強しまくり。
え? 五輪の書と葉隠も?
思いっきり惑星日本の教育じゃん。
せんせー、山鹿流と什の掟は?
え、やる? 什の掟は候補生のときにやった?
めっちゃ惑星日本じゃん。
俺、惑星日本追い出されたから途中までしかやってないけど。
終わると男子の方の政治の授業。
おかしい……俺は何を聞いているのだ?
プラトンやアリストテレスだと思ったら、
『子どもを最低5人は作りましょう。多ければ多いほどいいです。半分死にます。三人生かして世に出さないと人口が維持できません。死ぬ気でがんばりましょう』
ワイはいったいなにを聞かされてるんや?
するとクラスメイトのささやき声が聞こえる。
童貞イヤーは地獄耳!!!
「なあ、おまえのとこ何人?」
「ああ、本妻のとこに一人。それと養子が20人かな」
「そっか、少し前に怪物が街を襲ったんだっけ?」
「おまえの方は?」
「ああ、今度生まれる。養子の話はまだかな」
童貞イヤーが自主的に聞くのをやめた。
大人の会話だ。
童貞ってバレたら命取られるんじゃね?
ハハッ……養子20人……すげえぜ。
「マコトくん、養子20人だって。すごいねえ」
とクラウザーくんが言うとクラス中が俺を見る。
やめろ! 童貞を見るな!!!
「おい、シロガネ公爵だ。あの三人が婚約者らしいぞ」
「ああ……あの問題児三人を……まさに漢……」
「それに中部のモンスター、あのリッチを討伐したって話聞いたか?」
「ああ、それだけじゃない。遺跡を奪還しアルフォート家を断絶の窮地から救った勇者だぞ」
「俺も家臣になりたいぜ!」
「おい声かけてこいよ!」
なぜか漢たちから熱い視線を注がれる。
暑苦しい。
つか会話の最後の方が恋愛物っぽかったのやめてくれない?
内容全然違うけど。
漢に顔を赤くされてもうれしくないぜ。
「と、シロガネ様には必用のない講義でしたね」
講師の旦那。
たぶん経験がゼロなの俺だけだぜ。
クラウザーくんを見る。
「うん? なに?」
たぶんクラウザーくんはトラップ。
一晩で九人がノルマと言われる銀河帝国の皇帝のような生活のはずだ。
ゼログラビティなのは俺だけだ。
「ぽく強く生きる!!!」
「え? なに? どうしたの!? マコトくん!!!」
ふ、すべてがむなしい……。
「お、おい、今のやりとりメモ取ったか!?」
メモ取るなボケ!
「高度すぎてわからなかったぜ」
何の意図もねえよ!
童貞のひがみだよ!!!
「問題児三人を嫁にできる度量……さすが勇者シロガネ……」
かわいいだろが!!!
シャルロットはまっすぐだし!
サーシャはエロいし!
くっころちゃんはおっぱいだし!!! しかも眼鏡!!!
スッパーンとドアが開いた。
そこにはなぜかセレナが!
セレナはズカズカと入ってきてオレの隣に座る。
そのまま頭で俺の横腹をグリグリ。
「な、なんすかセレナさん?」
「なんかないがしろにされた気がした」
なぜかそのまま膝枕。
俺は必死になってポーカーフェイスを作る。
「あれに動じないだと……さすが男の中の男!」
「クールすぎるぜ!」
「ああいう漢になりたいものだ」
童貞泣いていい?
で、偏った座学が終わり昼休み。
いつメンで飯を食う。
あんまり美味しくない。
とはいえ俺も軍人。
早飯は芸のうち。
素早くきれいに食べて終了。
「マコト殿、どうだろうか?」
シャルロットが聞いた。
「なにが?」
「ここの学食だ。美味しくないだろう?」
「うんまあ、たしかに……」
「マコト殿の作る料理や持っていた兵糧は美味しすぎるのだ」
そもそもここの料理は濃い塩味ばかり。
文明の衰退でありとあらゆるレシピが失われたと思うと……死にたくなるな。
「甘く、薫り高く、それでいて優しい……思い出すだけでお腹がすいてしまう」
「レシピ集。あるけど」
「それは絶対に外に出すな! 我らの秘伝にしろ!」
「いやさー、未亡人たちいるじゃん。あの人たちにモールで店出してもらおうかなと思ってたんだけど……」
バーガー屋、カレー屋、ラーメン屋、寿司屋、蕎麦うどん屋だけは誰が反対しようとも復活させようと思う。
俺が食いたいからだ!!!
あと干物でしょ、刺身でしょ、ステーキでしょ。
お好み焼きとたこ焼き屋も!!!
あと牛丼。
粉物から教えて発展させるのがいいかな。
あ、採算なんて度外視。
俺が食いたいのだ!!!
と心の中で熱く語ると、シャルロットのお腹がくぅーと鳴った。
シャルロットは顔を真っ赤にして黙った。かわいい。
「あげる」
セレナが大判焼きを一つ渡した。
「す、すまない……むッ!!! なんとまろやかな!!!」
中はクリームだったらしい。
シャルロットは一瞬で平らげる。かわいい。
「施設ができると……それが毎日食べられる」
「ま……毎日……」
ごくりとシャルロットの喉が鳴った。
「んだんだ」
シャルロットの頬へひとしずくの涙が流れた。
「毎日……」
そこまでうれしかったか……。
「たしかに旦那様とセレナちゃんの料理は戦略兵器ですわ。ああ、結婚したら毎日食べられるかと思うと楽しみです」
君ら毎日うちに食べに来てるよね。
でも喜んでもらえるのはうれしい。
というわけで……。
「飲食店計画の承認を求める」
「いいよお兄ちゃん。計画実行!」
というわけでモールの一階を飲食店だらけにする。
フードコートも作っておくか。
イ○ン……気にしたら負けだ!!!
でも映画館作ったら完全に……。
「シネコン作る? お兄ちゃん映画好きでしょ?」
よし、俺は悪くない。
なんか地方都市がやりそうな都市計画に、よくあるモールになったけど。
最後の一押しをしたのは俺じゃない。
悪いのはセレナだ。うん。
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