第64話
学園の練兵場。
そういやシックスセンスで忘れてたが、魔法どうなった?
超能力は存在するけど使い物にならないのが証明されてる。
最大出力1ニュートン力も行けばいい方なんじゃないかな?
魔法の方はナノマシンの作用なのがわかっている。
ナノマシンに命令して作用する能力らしい。
くっころちゃんが大きなお胸を張ってドヤ顔した。
「私が封印された後によくわからないアップデートがされたようですが、ようやくハッキングしました!!! わからせてやった!!!」
ナノマシンわからせ。興味のある方は……いえなんでもないです。
「軍服にコード生成機能を追加しました! これで魔法が使えます」
「ふーん、えっちじゃん」
つい胸に視線が行って口走ってしまった。
違うそうじゃない。
セレナが般若みたいな顔になっている。
般若通り越して獅子舞みたいになってる!!!
落ち着け俺!
「こほん……それで、どうすればいいの?」
「武器は素早く使えないと意味がないので。脳内チップメニューで操作できます」
拡張現実メニューから『魔法』を選択。
属性を選ぶ、と。
属性を『炎』にする。
シャルロットちゃんがやった感じだとちょっと炎が出るだけだ。
それほど期待できないだろう。うん。
「メニューを選んだら起動コードを発生してください」
うっわ、めんどくさ!!!
俺はやる気なさそうに手の平を突き出す。
「ファイア!」
出宇宙期ごろの古代帝国語、しかも惑星千葉なまりで『ファイア』と発声。
難しすぎんだろ!!!
古代共和国語で惑星日本なまりだったら、誰も起動コード発声できないからまだマシか。
すると火が出る。
まあサバイバルキットのマッチくらいの火だよねと思ったら。
そこからボフっと音がして推進用エンジンくらいの炎が出る。
ちょっ!
「緊急停止!!!」
停止する前に林に火が移り炎上。
「ウォーター!!!」
メニューから『水』を選択。
水で消火だ!!!
と思うじゃん。
温度設定が間違っていたらしく、出たのは水素。
当然燃えるじゃん。
爆発するじゃん。
林が消滅するじゃん。
爆発で酸素使いつくしたらしく火は消えたけどね。
……やってしまった。
飛んできたいつメン&クラウザーくんに問い詰められ白状させられた。
いま正座中。
「……つまり、精霊をわからせたと」
「はい。シャルロットさん大好きです」
「魔法使ったことなかったから加減がわからなかったのですわね?」
「はい。サーシャさん大好きです。踏んでください」
なぜかセレナに素足で胸をウリウリされる。
ちょ、おま! 共犯者じゃん!!!
「セレナ、お前はダメだ!」
「胸か! 胸で差別してるのか!!!」
「ちげえ! お前は共犯者側で正座だっつーの!!!」
「はあ? くっころちゃんはどうなのよ?」
なぜかくっころちゃんは先生たちに囲まれている。
この魔法の発案者だからだって。
「豊かなお胸罪で……無罪かな?」
と言った瞬間、サーシャにTKBをつねられた。
ら、らめ、セブンスゲート開いちゃう!
「喜ぶなド変態!」
セレナぶち切れ。
「原因作ったお前が言う!?」
たぶん俺悪くないよ。
「うるせー! 大好きですって言え!!!」
え? 言って欲しかったん?
「セレナさん大好きです。セレナさんの作るご飯美味しいです」
「んが!!!」
なんで顔赤くしながら変な声出してぶち切れてるの?
サーシャもシャルロットもほっこりしてる。
ガキどももやって来て指さして笑ってる。
おぼえてろ……。
と魔法でやらかしたすぐあと、ガキどもがやって来た理由がわかった。
スラムの未亡人の面接だって。
なんか悪役っぽいからそういうのやめてほしんだけど。
もーね、30超えてるおばちゃんとか……あれ?
普通にありだ。
新しい性癖手に入れたか?
と、首をひねりながら行くと若い女性たちがいた。
若いって言っても20代とかじゃない。
俺とあまり変わらん年の女の子たちだ。
平均で17から18歳くらいかな?
「え? 俺来るとこ間違えた」
「間違えてねえよ」
カートマンが呆れた声を出す。
「え? でも若すぎない?」
「そりゃおめえ当たり前だろ。平民は13から15で結婚するの。俺だって来年あたり結婚だぞ。相手いねえけど」
「いないのか!!!」
「上から目線のいい笑顔になるな! ムカつくわ!!!」
それで女の子たちを見る。
50人以上いるよね?
「ええっと、スラムの子って宿は?」
「適当に小屋建てて住んでるに決まってるだろ」
「ごめんね。ちょっとセレナを呼んでいい?」
「お、おうどうした」
「家建てる予定入れないと。ゴーレム操ってんのセレナだから」
「じゃあ採用は?」
「全員採用。ただし嫁や愛人にはしねえから。子どもも連れてきて」
野郎が必要だな。
「あ、お前らもテキトーに家庭持ってください。お願いします」
とガキどもに言っておく。
「いやいやいやいや。そのうち打診あるから」
「なんのよ?」
「だから家臣のお嫁さんを世話してくれる貴族おじさん」
「マジで?」
「兄ちゃんに恩を売りたくないヤツがいるとでも思うか?」
「えー嘘だー」
って思ったわけよ。
ところが本当だった。
連日、俺がかわいがっている騎士候補生と自分の領地騎士の娘さんを……なんて手紙が来るわけ。
それも大量に。
それでシャルロットとサーシャに泣きついたわけだ。
「ゴードンの末娘はどうだ?」
めちゃくちゃ偉いじゃないですか?
「ガキどもとじゃ釣り合いが取れないのでは?」
「そうだな……なにせ人類の生存圏を奪還した勇者だからな……」
「え? そっち!? ガキどもがダメなんだと思ってたけど」
「なに言ってる! 公爵家の騎士。しかも少なくともマコト殿が若いうちは生き残れる可能性が高い。それだけでも引っ張りだこだ!!!」
耐久力が一番求められてる!!!
うらやましくなさすぎ!!!
そしたらサーシャがこんなことを言う。
「他の子のお相手もうちで用意しましょう」
「なんか悪いね」
「ええ……おもしろい、げふんげふん。旦那様のためですもの」
「じゃあお願いしちゃおうかな」
とこのときは解決したと思ったんだよなあ。
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