第46話

 くっころちゃんに体を与えて再起動&惑星に直送。

 セレナと違ってちゃんと服を着てたのでよかった。

 今回はシャルロットとサーシャも一緒だ。


「こんにちわー!!!」


 日系文学少女風眼鏡っ娘。

 ゆっさゆっさ。

 ……やだ大きい。ロケット型。

 パーンッ!!!

 セレナが問答無用でくっころちゃんの尻を蹴る。

 やだ揺れてる。


「オドレコラワレェ、ノーブラとかうちに対する宣戦布告か? なあ戦争か?」


 ノーブラでも揺れないセレナの恫喝。

 目が血走ってる。

 うん、実に見苦しい。


「ちがいますぅー!!! あとで送ってくれるって、かなたお姉様が!!!」


 結局すぐに下着が送られてきてお着替え。

 シャルロットもサーシャも手伝う。

 ローティーン向けSサイズ下着のセレナは終始情緒不安定だった。

 結局、学生服に着替えた。

 なお俺も含めて全員学生服。

 女子はリボンだらけでかわいい。

 俺は帝国士官学校風のブレザーである。

 基本ねずみ色の作業服かジャージの工兵学校との格差よ……。


「それで……今から学園?」


 俺が話を変える。永遠にぺえの話から進まないからな。

 するとシャルロットが答えた。


「そうだ。入学試験は免除だが、今日は各種手続きをする」


「それと私との愛の巣を借りなければ」


 とサーシャが俺の胸をなでながら余計な事を言う。

 ああ、でも、エロい言葉に逆らえない俺。く、殺せ!!!


「私、学校って行ってみたかったんですよねえ! 映像作品でしか見たことなかったので!」


 くっころちゃんがホクホク顔で言った。

 するとサーシャがくっころちゃんの顔をのぞき込む。


「あなた……なかなかの逸材ね……」


 そう言ってくっころちゃんのアゴをクイッと指で持ち上げる。

 あー、バレたか。ドMなの。


「お姉様と呼んでよろしくてよ」


「はわわわわわ! お姉様!!!」


 くっころちゃん顔真っ赤。


「いやーいい百合見れましたな。どうですか解説のセレナさん」


「けしからんぺえですな。ぺえに重税をかけましょう大統領閣下」


 いやです。

 現場からは以上です。

 くだらない話をしながら馬車で学園に行く。

 コーチっていう鎖で吊された形状なので乗り心地は電車みたい。

 モノレールよりもうちょっと揺れるくらいかな。

 ケツがガッコンガッコン突き上げられて痛くなる感じはない。

 板バネとか導入したらどうなるのだろうか。

 一応聞いてみたら却下された。

 時代が後過ぎるんだって。


「何度かこの世界に産業革命レベルの科学を持ち込む会議したんだけどさ、環境破壊しまくるから却下だって。影響が大きすぎるんよ。出宇宙期以後の文明だと絶滅戦争につながるおそれがあるし」


 環境破壊に絶滅戦争か。

 出宇宙期の少し前には解決してたらしいけど。

 それより前の文明だと難しいよね。

 絶滅戦争は共和国と帝国で実証済みだし。

 この惑星しか人類が残ってないかもしれない可能性を考えると失敗できない。

 うん、難しい。

 そんなことを考えてると学園に到着した。

 学園は西洋風。

 やたら広い運動場が併設され、そのほかにも温室やら実験室なんかもある総合施設だった。

 入り口の守衛室に別の馬車に乗ってた文官さんが行く。

 俺が王族扱いなので、そういうのは全部人にやらせるんだって。

 ここで偉そうにして恨みを買うのだけは避けようと思う。

 人間謙虚が一番だ。

 馬車の戸から外を見ると男子学生たちが校舎への道の両側に並んでいた。

 服装はブレザーの上にマント。そして腰に帯剣。

 式典用の正装とのことだ。

 王族だからって特別扱いされるの嫌だなあ。

 待っていると扉が開く。

 顔なじみの近衛騎士隊長が開けてくれてその後ろをついていく。

 すると近衛騎士隊長がぼそっと言った。


「本当は式典の予定はなかったのですが、男子生徒たちがどうしてもって言うので」


 えー、特別扱いは嫌だな。

 と思ったら号令がかかる。


「勇者の訪問に感謝を!!!」


 そう言うと男子生徒たちは剣を抜く。

 お、おう、よくわからんがすげえ歓迎されてる。

 アレかな。ダンジョンの攻略の件かな。

 ドキドキしてたら体の大きい男子が号令をかけた。


「バルガスとアルフォートを婚約者にした勇者に敬礼!!!」


 男子生徒たちは自分の前に剣を掲げた。

 へ?


「我々は感動している!!! 我々はバルガスとアルフォートに婿入りするという悪夢から解放された!!!」


 待てコラ。


「二人ともかわいいだろ!!!」


 思わず反論すると男子生徒たちが涙ぐんだ。


「あの二人をかわいいと言える剛の者! 感動した!!! 我々が婿入りしたなら一生奴隷のような人生を送るだろう!!!」


 どんだけやらかしたんだよ二人とも。

 そう思って二人を見るとシャルロットは目をそらし、サーシャは怖い笑みだった。


「あ、あのな。その……すこーし、少しだけ決闘しすぎてな……その女子に無礼を働いたやつを片っ端から……」


 シャルロットはあきらめたかのように言った。

 目に浮かぶようである。

 そういう真っ直ぐな所もかわいいよね。

 で、問題はサーシャ。


「私はなにもやってませんわ」


 とサーシャは笑顔。


「お前! 嘘をつくな! 私より評判悪いだろ!!!」


 シャルロットがツッコミを入れた。

 それを見てセレナとくっころちゃんは大笑い。

 お前ら、お前らもその仲間だからな。

 連帯責任になるからな。


「私も女子に恥をかかせたものを社会的に成敗しただけです」


 ムキになるサーシャは珍しかった。新鮮である。

 要するに二人ともバカ男をやっつけてたのね。


「え、やっぱり二人ともかわいいじゃん!」


 と言うと男子学生が号泣した。


「やはり勇者だった!!! 我々とは器が違う!!! もう二人に憶える日はなくなったのだ!!!」


 えー……。

 そこまで怖がること?


「まったくこの学校の男どもは!」


 シャルロットが忌々しそうに言う。


「まったく意気地のない!」


 サーシャも怒っている。


「一生ついていきます! マコト様!!!」


 なんだろう。

 いきなり人気者だけど……ぜんぜんうれしくない。

 お願いだから女子のヘイト買った状態でスタートとかやめてよ。

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