第13話

 さあ夜撃だ!!! ヒャッハー!!!

 と思ったら、襲撃は昼間に変更になった。

 原因は復讐の炎が燃えてるゴードンと愉快な仲間たち。

 馬の速度に合わせるといまから行くと早朝に着くんだって!!!

 シャルロットも来たいと言ってたが、怪我人は子どもとお留守番。

 俺はいつものバイク。

 ゴードンの兄貴たちは馬。

 馬に挨拶したら髪ムシャムシャされた。


「お兄ちゃん、お馬さん。DNA鑑定によると地球産の馬とほぼ同じみたい」


 地球産の生き物、特に家畜はありとあらゆる惑星で飼育されている。

 ということは、やはりこの惑星も地球の系譜だろう。


「問題はこの惑星が反物質砲の影響を受けなかったことだよね、お兄ちゃん。あと変態が生身で宇宙遊泳と大気圏突入したことかな」


 日本人なら誰でもできることを……そんな褒めんなよ! 照れるだろ!!!


「褒めてねえよ!!!」


 いつものようにAIにツッコミを入れられながら進軍。

 馬にあわせて安全運転。

 休憩にもつき合う。

 本当に早朝に到着。

 うわーお、携帯用の時計を誰も持ってない世界でこの精度。

 見習うべきところがたくさんある。

 さて、偵察。

 空を飛ぶドローンと脳内のチップを同期しカメラと視覚をリンクする。

 衛星から送られてくる映像とドローンのカメラを照らし合わせ、AIが戦闘行為が起きている場所に色をつける。

 城壁のある都市がゴブリンに囲まれている。


「ここから真っ直ぐ行ったところで都市が囲まれてます。敵はゴブリン。数は目視で500以上」


 ゴードンの兄貴の顔色が悪くなった。

 このところずうっと顔色悪いのですでに青どころか黒くなってる。

 黄疸が出そうな顔だ。

 白目が黄色くなったら無理矢理にでも治療しようと思う。


「あそこは隣の伯爵領になります」


 ふーんへー。よくわからん。


「ワシラのシマじゃないけんのうって意味じゃない?」


 じゃあ俺には関係ないな。


「作戦は俺がオトリになりますので。あとは適当に」


「お兄ちゃん! それは絶対に作戦じゃないよ!!!」


 だがやめない!!!

 ドローンから支援物資を要請。

 もちろんガトリングだ!!!


「ねえねえ、お兄ちゃん。ヘリ用のガトリングが標準装備って自分でも疑問に思わない?」


「ぜんぜん!!! セレナ……惑星日本にはこんな格言がある……努力・友情・勝利・ガトリングってな……」


「だめだこいつ……誰だよ人鬼放置したの!!! ってデータベースに理由書いてあった。なになに……前任者があきらめて後任もあきらめてそのまた後任も……お役所仕事かよ!!!」


「これこそ惑星日本の伝統。書類隠れの術!!!」


「歴代担当者呼び出して説教してえぇ!!!」


 オチがついたところで作戦開始。

 ある程度近づいたところで腰だめガトリング発射。

 平地にいる間抜けどもをなぎ倒す。

 間合いが違いすぎるのでゴブリンは攻撃できずに倒れていく。


「くそ! 肉が反抗しやがった!!!」


「おい、おまえ! オーガを連れてこい!」


「おいデカブツ!!! あいつぶっ殺してこい!」


 と汚い声が聞こえた。

 オーガ?

 背中ムキムキ?


「絶対違う!!! はいはい、辞書にオーガ登録!!!」


 AIがいじめる。

 興味本位でガトリングの回転を止めて冷却。

 するとドスーン、ドスーン、と音を立てて巨人が現われた。

 身長目視で4メートル、緑色の肌、なにかの毛皮の腰巻き、顔は下の犬歯が口からはみ出している。

 体型はボディービルダーみたいにムキムキと言うよりはずんぐりむっくり。

 腹が出てる。

 一番力がある体型だ。


「おいデカブツ! あの人間殺してこい!!!」


 ゴブリンがそう言うとオーガはそのゴブリンをつかみ口の中へ。


~凄惨な光景のためTS白銀閣下が花畑でたわむれる映像に差し替えます。あははうふふ~


 ぺっと吐き出して一言。


「まずい」


 目が合った。


「おいちい肉!!!」


 巨大な棍棒を振りかざし、襲いかかってくる。


「人間の肉おいちいいいいいいッ!!!」


「うわああああああああ!!!」


 キモッ! マジでキモッ!!!

 容赦なくガトリング発射。

 一瞬でオーガは肉になる。

 よかったね。お肉になったよ。

 少しだけ怖かったのでゴブリンに八つ当たり。


「死ねやぼけがあああああああああああッ!!!」


 腰だめガトリングで周囲を一掃。

 精神攻撃してくんな!!!

 お、怒ったんだからね!!!

 つまり、ゴードンたちがやってくる前にゴブリンどもを壊滅させたわけである。


「お兄ちゃん、惑星日本の日本人を追い込むとこうなるわけね。貴重なデータが取れたわ……」


「さすがにあれは卑怯だろ!!!」


 ゴードンたちが合流する。


「マコト殿!!! ご無事ですか!!! って終わってる!」


「まー、なんとか」


 堀の跳ね橋が架かり門が開く。

 武装した兵士たちがこっちをうかがう。


「アルファート男爵家騎士団団長、ゴードンである!!!」


 すると兵士たちは武器を下ろし歓声が上がった。

 これで拠点もできたし、有効的勢力もできた。

 まずは作戦終了と言えるだろう。


「あー……お兄ちゃん、残念なお知らせが。ゴブリンが各地で暴れ回ってるかも。うーん、この国戦争状態みたい」


 おう……まあいいや。

 コツコツやっていこうか。

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