第30話 小此木沙絵の章 その8

─月曜日

 また、一週間が始まる。いつも起こされているのに、珍しく一人で起きられた。ニュースでは、この前の雨が止んだことについて何か偉い人が話していた。朝ご飯を食べて、学校に向かう。


 教室に着いて、彼の方を見てみる。なんだかぼっーとしているというか、考え込んでいるというか…そんな感じがする。何を考えてるんだろう。気になる。


 自分の席に座って、後ろを見ると香織ちゃんがいない。あれ? この時間にいないのは随分と珍しい。遅刻かなと思ったけど、荷物はあるからいるらしい。


 さっきまで前を見てたはずなのに、気づいたらやっぱり彼を見ている。彼は孝幸くんと何か話していて、やっぱり何かを考えているような顔をしている。何を考えてるのか聞きたいなぁ。


「おはよう、沙絵ちゃん」


 気づいたら、香織ちゃんが戻ってきていた。


「おはよう、香織ちゃん。どこに行ってたの?」


「生徒会室で資料の整理を手伝ってきたんだ」


「あー、なるほどー。大変だね」


「うん…。放課後も手伝わないといけなくなっちゃって」


「うわー、ますます大変だ。お疲れさまだよー」


 そんな話をしていると、先生が来てHRが始まった。


「…とまあ、そんな感じだからな。分かったかー?」


「「「はーい」」」


 HRが終わった。内容としては、お化け屋敷をやるのに必要なものとか準備期間の話だった。そろそろ、文化祭の出し物の準備をし始めないといけない時期だしね。


 今日の二時間目の授業は体育で、篠田さんが参加してまた倒れた。篠田さんが倒れたということは、彼がまた放課後に篠田さんのところに行くという訳で…。二人の事については考えないようにというか、気にしないようにしていたのに、もやもやしてしまう。考えないようにしようと思うからなのか、余計に考えてしまって、余計にもやもやする。


 もう話を聞いたのか、三時間目から彼はこの前みたいにしっかりノートを取っていた。

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