12月12日 ビールの原料

 ところで、皆さんはビールが何から作られているかご存知でしょうか?


 参考に手近なビール缶を手にとって原材料表示を見てみると、とってもシンプルに『麦芽、ホップ』の二つが並んでいます。


 ビールを作るのは、この麦芽とホップに加えて水と酵母。食品表示における原材料には含まれませんがビールの味を決定する大切な存在です。



 ドイツには、今なお続くビールの原料に関する古い法律があります。


 1516年バイエルン公ヴィルヘルム4世により制定された『ビール純粋令』は、『ビールは、大麦・ホップ・水(後に酵母を追加)のみを原料とする』という内容の法律でした。


 当時、バイエルンで作られていたビールは質が悪く、混ぜ物が多いだけでなくビールと呼べない代物も含まれていたそうです。

 そして、当時の麦芽は大麦に限定されていました。食料事情が良くなく、小麦を食用に回すためです。


 一方で、ごく一部の醸造所だけが特権的に小麦麦芽を使ったビールを醸造できました。この小麦麦芽を使ったビールが二缶目にご紹介したようなヴァイツェンWEIZENで『貴族のビール』と言われていたのだとか。



 現在のビール純粋令は、大麦に限定する記載が取り払われ『ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする』という形になっています。


 また戦後、ヨーロッパ諸国との関係性から、ビール純粋令はドイツ国内での消費向けに生産されるビールのみに適用されるようになりました。


 にも変わらず、国外向けにビール純粋令を守った製品を卸している醸造所も多いようです。

 三缶目にご紹介したFürst Carl Pilsの缶の下の方にも、この法律の表記がありました。



 ビール純粋令は、現在も有効な食品に関する法律としては世界最古のものだそうです。五百年間も続く法律に、ビールへのこだわりを感じますね。

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