第17話 杜牧〈江南春〉①
江南の春
鶯 千里こだまする
やなぎ緑に紅い桃
沢辺の村に山の町
はためく青い
かつて栄えた南朝の
四百超える寺々よ
しとしと白く
千里鶯啼綠映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少樓臺烟雨中
【ひとこと】
七言詩を一句7575の24文字にする大盤振る舞い(普段は75の12文字。二倍の文字数)。
横書きの都合で改行したけど本当は改行したくない。せっかく紅、青、白がページ下の方に並ぶ構造なのに……勿体無い。
杜牧(八〇三─八五二)の〈江南春〉では何が緑で何が紅かは書かれていない。だが加賀氏は柳と桃だと解釈しており[1]、王維〈田園樂〉と並べるとなるほどこれは柳と桃だろうと思い補った。王維の詩では夜雨が降って朝には晴れる。杜牧の詩では柳も桃も晴れた景色の中にある代わり、後半の寺が雨に烟る。酒旗が青いことは当時の人にすれば自明なのだろうが、晴れた景色と水村のイメージを鮮やかにすると思い明示した。
緑と青(碧)と紅と白。この色彩は杜甫〈絕句〉を彷彿とさせる。この四色は私の中ですっかり春の定番となっている。
[1]加賀美文一『唐詩のしらべ 唐詩歳時百首』東方書店、一九九一年
(蛇足)
訳詩に曲をつけてみようと思いたった。歌おうとすると詩と歌詞は別物だと気付かされる。丸一日格闘したがなかなかうまくいかない……。このあと更新されなかったら……この話は忘れてください。
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