第12話 陶淵明〈飮酒 其五〉

とうりのきく


  さとの まなかに いおりを むすび

  されど うるさい ことはなし

  ありっこない と いうけれど

  こころ ひとつで かわるもの

  とうりの きくで しっぽりと

  おもえば ロザン めにはいる

  やまが ゆうひに そまるころ

  つらねた かりが とんでいる

  さても さてもの このこころ

  はてこれ なんと いったかな


結廬在人境

而無車馬喧

問君何能爾

心遠󠄁地自偏

採菊東籬下

悠然見南山

山気日夕佳

飛鳥相与還

此中有真意

欲弁已忘言


【ひとこと】

 最初の句だけ77であとは75、元の詩は五言で揃っているのに!うわぁぁ気になる!75にして欲しい!けど……今の音が良すぎる。ひとまずこれで。

 陶淵明〈飮酒 其五〉を語るなら「悠然見南山」(某点は筆者)の話を落としてはいけない。「何気なく見えたのであり、見ようとして望んだのではない」[1]点に気をつけなくてはならないためだ。私は当初これをよく知らず、ふんわり訳していたせいで途中作り替えたことに触れておく。調べるって大事。「南山」は廬山ろざんを指すらしい。どうやら一般名詞というよりは固有名詞(廬山の別名)らしいと理解したので訳でも明言した。夕日と雁はありふれた取り合わせだがどうしても枕草子が浮かぶ。陶淵明が意図したところとは違うだろうが、これもまた「いとをかし」だろうなと思ったりする。


[1]釜谷武志 著『陶淵明 新釈漢文体系 詩人編1』明治書院、二〇二一年


——

追記:

推敲迷ってるのでメモ。今すごく〝響き〟が気になってるので音を優先したけれど……寝かしてみないと馴染むかどうかわからない。


ひとすむ ところに→さとの まなかに

いっぱい→しっぽり

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