第20話 A{0,2}~ A{0,3} 魔法少女の神髄――無意識の変身
――TIMES_A{0,2}――
2024年9月28日(土)03:30
あれ、気が付いたら、土曜日なっている。
というか、夜中だ??
というか、慣れない動画を見続けて、体力を消耗して、頭がくらくらしてきて、気が付いたら変身してたし……。
変身時間をぎりぎりいっぱい使ってしまった。
時間制限なく、
このずっと変身できるってやつは、多分、最後のボスと戦うときに使うやつだから、絶対取っとかなければならないやつなはずだし。
これだけは使ってはならない。と、思う。
まぁ、私にとっての最後のボスがいるのかどうか分からないけど、1作50話くらいの魔法少女の話だと、だいたい最後のボスがいるしなぁ。
サムの言い回し的に、いつかはボスと戦うのかなぁ……?
それはさておき、昨日の状況を正確に表現すると、頭が朦朧とするほど疲れていても、変身すれば疲れを感じなくなるから冷静に考えられるし。
だから、いくら私が瞬間的に熱中してたとしても、リミットオーバーしてまでアニメは見ない。はず。
それにしても、すごい疲れているときに変身するって、あまりしたことなかったなぁ。
変身前の状態でエグゼキューショナーなどの敵から痛めつけられて、変身すると治る可能性があるから、変身ってそもそも回復効果があるのよねぇ。
あまり試したこと無いけどねぇ。
そういえば……、明日は、じゃない、今日は14:20になったらタイムリープの力を使って戻らなきゃならないのに。
まぁ、いいのか。
たぶん、睡眠不足な状態でも、アビリティは使えるだろう。
よっぽど体調が悪くない限りは。
けっして、アニメが面白いから観てるわけではないのだ。
ほかにも魔法少女の心構えも再勉強できたしね。
ひと眠りして、起きて、タイムリープを試しましょうかね。
・
・
・
――TIMES_A{0,2}――
2024年9月28日(土)14:10
アラームが鳴る。
目が冴えていて、寝過ごすことはなかった。
慣れない動画を見続けるということをしたが、体力的に問題は無かった。
変身能力さまさまである。
さて、心構えはできている。
14:20にタイムリープを行う。
――TIMES_A{0,3}――
2024年9月21日(土)14:20
自分の意識の一部が粒になって沈んでいく気がする。
それは自分であり、自分から切り離された何か。
まるでタコの足になって、その足がトカゲの尻尾のように切り離されて捨てられて行く感じ。
いわゆる本体から離れる孤独、これが死かと感じるような孤独。
そんな感覚を味わう末端。
末端は沈んでいく。
が、ある程度まで沈んだ後、浮かび上がって行く。
そして一つに統合していく。
巣に帰る、故郷に帰る(ほんとは故郷なんて無いけどそんな感じ)
本体に戻ると今までの本体の記憶も蘇る。
自分から抜け落ちていく何か。
掬った粘性のある液体が指の間から抜けていくような感覚、失われていく感覚。
それがある程度垂れていったあとヨーヨーのように戻ってきた。
そのように中心の時の気持ちと末端の時の気持ち両方をまた味わう。
・
・
・
気が付くと額に手の感触を感じた……。
――TIMES_A{0,3}――
2024年9月21日(土)14:21
「ウサ先輩。大丈夫ですの? 気を失ってまして? それとも、眠ってただけですの? どちらにせよ突然だったのでビックリしましたですの」
「だっ、だいじょうぶよ。手を当てるのを続けて欲しいのですけど……」
「続けて大丈夫ですの?」
「だいじょうぶだから、続けて」
「そうなのですのね。なら続けますですの」
本当にツタエの手は、落ち着くわねぇ。
こちらから話しかけないと、この時間は無言になるのよね。確か。
それにしても、なんか一生懸命手を当ててくれてるわねぇ。
それに私のことをすごく観察してる。
今までは、ツタエのこの時の様子はあまり気にしてなかったから気づかなかったわ。
それにしても気持ちいい手だ。
回復魔法って感じよね本当に。
「いつもありがとうね」
「えっ、いつも? いや、昨日は……」
「あっ、いや、勘違いだわ。気にしないで」
「はいですの」
いやはや、変なことを言ってしまった。
それにしても、ツタエの方も動揺してるのはなんでなのかしらね。
それからやはり10分以上、ツタエは私の額に手を当てていてくれた。
あまり長いとツタエが辛いのではないかと思い、私の方から切り上げた。
「さぁ、ケーキを食べましょう。ちゃんと覚えてるわ」
「あはは。面白いことを言いますのね。忘れられないくらいケーキが食べたいということなのかしらですの?」
「あっ、あっうん。そういうことになるわね」
さっきから変なことを口走ってるな……。わたし……。
それに、なんか久しぶりに人と会って話をするような感覚ね。
上手く話すことができない感じがするわ。
まぁ、しゃべってたら、すぐ治るかしらね。
私たちはケーキを食べながら会話をする。
「そういえばツタエさんって魔法少女のアニメが好きなのよね? 何が好きなのかしら?」
「えっ、ツタエ? いあ、なんでも。あれ、えっと、ウサ先輩にそのことを話したことありましたでしたっけですの? 誰からお聞きになりましたですの?」
「あっ、あれ、誰から聞いたわけじゃ無くて、ただそう思っただけかな」
「まぁ、えっと、合ってますわ。ウサ先輩って勘が良いのですわね。それとも伝わっちゃったかしらですの? 私の力で私の考えてることが」
「えっ、力で伝わる? なんのこと? あっ、もしかしてテレパス系のアビリティ?」
「はい。そうですの。
さっき話したテレパシーのアビリティのことですの。
その能力がある為付き合いの長い方には、この能力が発芽して以来、記憶や思ってることが伝わることがあるのですけど。
でも、かなりの長い付き合いでないと伝わらないはずで……」
「じゃぁ、勘で当てたってことね」
勘で当てたということで押し切ろう……。
ツタエがアニメが好きだと言うことを聞くのはこれからだったようだ。
会話の順序や正確な時間までは覚えて無いしね。
でも、前回は、こんな質問が来なかったような。
あたかも、自分が第三者からこの情報を聞いたかのような雰囲気が出てたのだろうか。
まぁ、深く気にしてもしょうが無いか。
「ウサ先輩は勘が鋭いのですのねぇ」
「そうなのよ。そうなのよ。で、私も最近、魔法少女のアニメをちょくちょく見てるの。王道の作品をですけど」
「そうだったのですの? どの作品が好きなのですの?」
やっぱり本当にツタエは魔法少女のアニメが好きなんだ。
楽しそうに質問をしてくる。
「うーん、どれから
「そうなのですの。王道の作品であり古いのですのね、初代かしら。初代様は良いですわよね」
「初代かどうか分からないけど、人数少なくて2人しか出てこないやつ」
「それは、おそらく初代ですの」
「そうなんだ。初代なのかなぁ。まぁ、昔は少なかったんだね。人類と一緒ね」
「ウサ先輩は面白いことを言いますのね。確かに、世代を超えて増えたり減ったり、人類と一緒ですのねぇ」
そのような感じに会話が少しもりあがり、その後、ツタエは午後の3時40分には帰って行った。
ワクチン接種があるとかで。
――TIMES_A{0,3}――
2024年9月21日(土)16:00
ツタエが帰ったあと、スキルについての確認を行う。
以前ポイントを使用して取得したスキルはどうなっているのかを。
スキルを見たら取得したはずのサモンスキルの線路召喚が無くなっていた。
アンサモンのスキルもだ。
スキルポイントは、スキル獲得の為に消費したポイントも、エグゼキューショナーを退治して獲得したポイントも無くなっていた。
変化自体がリセットされたということだ。
なるほど……。
スキルもリセットされるのね。
逆に言えば、スキルポイントを気にして今まで試せなかったスキルを、試せるということでもあるのね。
色々試してみよう……。
今日はあまり時間が無いから明日の日曜日に色々とおこなうか。
広い場所へ……前回の日曜日に行った公園でまた実験を行うか……。
じゃぁ、明日の為に英気を……いや知識を蓄える為に、魔法少女の勉強でもするか。
さっきツタエと話したばかりだし、やる気に満ち溢れている。
それもあるし、ループする人の心情の勉強しなくてもいけないし。
やるべきことはたくさんある!
さぁ、動画配信サイトへ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます