第14話 A{0,1} ウサの支度

——TIMES_A{0,0}——記憶

――ウサ視点


 魔法少女になった日にスキルツリーから取得できるスキルを試しに使ったこともある。

 その時に、スキルの使用に失敗することもあったので、スキルを失敗するとはどういう感覚なのかは理解していた。

 なので、1度も成功させてないスキルだが、『失敗したという感覚』は確認できた。


 そして、サムに言われた通りにおこなった。

 2日後は2日前に戻る。失敗。

 3日後は3日前に戻る。失敗。

 4日後は4日前に戻る。失敗。

 5日後は5日前に戻る。失敗。

 6日後は6日前に戻る。失敗。


 そして、一週間後は、一週間前に戻る。

 ここで成功した。



 ——TIMES_A{0,1}——記憶


 成功後、目の前にサムがいたようだ。

 今まで見ていた景色が変わりビックリした。


 だが、ここで記憶が零れ落ちていく体験をした。

 夢から覚めた時に、見ていた夢を忘れて行くような体験。


 私はここでタイムリープに関する記憶を失った。


 サムはサムで、基本的に、問われたことにしか回答しないから、その後、私がタイムリープを使えていたことを思い出す機会は無かった。


 何故……思い出したのだろう……。




——TIMES_A{0,1}——

 2024年9月20日(金) 夜


 この思い出したという現象のキーは、学校の後輩でもあり、部門は違うが、同盟部門の魔法少女である明渡アケド伝恵ツタエと、図書室で接触したことが原因だと確信しているが……。

 彼女と接触した直後に意識が混濁し始めたのだ。


 そして、今はとてもすっきりとしている。


 思い出せた原因はいったん置いておいて、タイムリープを使えるという記憶が戻った、ということについて考えよう。。


 当時サムから聞けた情報の中には、

『まぁ、どの程度記憶が保てないのかは、試してみるしかないようだ。

 程度は、そこまでは詳しく記載されておらず、読み取れないわね。

 だけど、何度も使いこなして行くと、『記憶の失われ方が低減』していく可能性があると記載があるね。

 情報ソースは非常に少ないがね。

 さらに、その少ない情報ソースを読み取り分析すると、このアビリティもスキルと同じで使えば使うほど、人間の能力と同じように伸びるであろうことが読み取れる。

 まぁ、さきほども言ったけど、魔法少女のスキルは使えば使うほど、人間の能力と同じように伸びる。

 アビリティも同様だということが読み取れる。』

 と、言っていた部分がある。


 本当に記憶がけっこう鮮明だ……。

 サムが言ったことをかなり正確に憶えている。


 恐らく……、明渡アケド伝恵ツタエの能力なんじゃないだろうか。

 テレパス系の能力。


 以前、彼女は、そのようなこと言っていた。


 スキルなのか、アビリティなのか……。

 そもそも、私と明渡アケドさんでは所属している部門が違うので、スキルのシステム自体違う可能性もある。


 まぁ、なのでざっくりと、テレパス系の能力と把握していたわけだが。


 そして、タイムリープ以外のことについても、記憶が鮮明になっていることがある。

 私が今ままで、明渡アケド伝恵ツタエと関わって来た時の記憶だ。


 それらのシーンがやけにはっきりと思い出すことができる。

 異様なほどに。


 そのような現象が理由で、今起きてることは明渡アケド伝恵ツタエがトリガーとなっていることを確信している。


 記憶が消えるかもしれないタイムリープを試してみたいのだけど…………。

 明渡アケド伝恵ツタエの能力がキーであり、これを利用してどうにかできないかと思っている。


 タイムリープの着地の時に、明渡アケドさんと触れている状態になっているのが良いのではないか?


 明渡アケドさんに触れられている状態……。

 明日は、土曜日。

 学校がお休み。


 明日の土曜日は、いつものようにカーニボー探索に行こうかと思ってたけど、これをやめて、この寮の自分の部屋に、明渡アケドさんをお招きすればいいのではないか。

 そして触れられている状態になる……。


 これは、その状態は長い時間のほうが安全なのではないだろうか……。

 タイムリープの着地という、熟知できていないあいまいな状態。

 やはり、長ければ長い方が良いと思う。


 さらに、

 明渡アケドさんと一緒に過ごすことについてもだが、同盟部門の魔法少女だから、サムも文句を言ってこないと思うし。


 そして、過ごした次の日、明後日あさっての日曜日になったら、明日あすの土曜日に戻る。

 それが駄目だったら、月曜日になったら土曜日に戻る。

 それもダメなら次の日と、1年半前に魔法少女になったときと同じ方法で試していけば、上手く行くのではないだろうか。


 たぶん7日後、来週の土曜日に試すところまでのどれかで成功するだろう。


 うーん、それにしても人を自分の部屋に招くか……。

 慣れてないないなぁ。


 明渡アケドさんを自分の部屋へとお誘いをする理由があるだろうか……。


 あ、そうだ。

 今日は保健室で私の体調の悪い時に、面倒を見てもらったんだ。

 そのお礼ってことにすればいいんだ。


 よし、SNSチャットで連絡しよう。

 SNSチャットは以前に共闘でカーニボーをやっつけた時に登録したのだ。


 お礼がしたいっと。

 SNSチャットでお礼を言い、返信が来たらそれに合わせて、私の住んでいる寮に招くように話を進める。

 明日は明渡アケドさんのほうも夕方に予定があり、それまでは暇しているそうなので、自分の部屋に招く段取りを整えた。


 お昼を食べてから来る予定となった。

 13:30に学校のそばのコンビニで待ち合わせをして、寮の自分の部屋へと招待する段取りとなった。


 とりあえずなんだかんだで夜遅くになってしまったので、後は明日考えることにして眠ることにした。

 

 

 


——TIMES_A{0,1}——

 2024年9月21日(土)

 

 今日は、午後から明渡アケドさんが私の部屋に来る。

 

 目が覚めて、記憶の状態を確認する。

 気づいたことは、昨日は明渡アケド 伝恵ツタエとの関連してたことが、異常にクリアーな記憶になっていたが、今はそうでもないことだ。

 

 でも、タイムリープのことはしっかりと覚えている。はず。

 

 うーん、記憶が消えていることは、本人には調べようがない事かも……。

 正体の見えない不安が押し寄せる。

 

明渡アケドさんと今日会う。

 明日からタイムリープの実験をする。

 

 漠然とした不安の為か、私は自分を自分で録画することに決めた。

明渡アケドさんに知られると問題がありそうなので、カメラを隠して自分の部屋を撮ることにした。

 

 WEBカメラは持っている。

 てっきり、オンライン授業ってWEBカメラを使うのだと思って用意をしてしまった。

 ネットで調べて先走りをしてしまった。

 

 うちの学校のオンライン授業では、今のところ生徒一人一人の映像は必要無いと先生は言っていた。

 

 まぁそんなわけで、動画を撮り続けて、私自身を確認し続けることができる。

 

 タイムリープというモノが、私の記憶が消えるだけでなく世界全体の改変だとかなんだとかであったならば、意味の無い行動である。

 けど、私の記憶が改変されるなら、なるべくいろいろな媒体を使っていろいろと記録していけば良いのではと思っている。

 

 サムの言うことって、変な言い回しは多いが、話の内容は杓子定規しゃくしじょうぎに正確に伝えてると感じる。

 サムが私の記憶というならば、そのもの私の記憶だけを指すのではないか。

 それらの考えから導き出される行動である。

 

 なんやかんやしていたら、もう待ち合わせの時間が近くなっていた。

 学校のそばのコンビニに向かう。

 

 学校までは6分、コンビニまでは5分といったところか。

 これだけ考え抜いたのだから……、準備に抜かりは無いと思うのだけど……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る